住友ゴム、書写山円教寺「法華堂」に制振ダンパー 住宅向け発売10年の記念事業
- 2022/12/19
- 04:53
【神戸経済ニュース】住友ゴム工業(5110)は、966年に創建された書写山円教寺(姫路市)の敷地内にある歴史的建造物「法華堂」(2枚目の写真)に、地震の揺れによる建物への影響を軽減する「制振ダンパー」を取り付ける工事を進めている。江戸時代に建てられたとみられる木造建築だが、震度7程度にも耐えられるようにする。工事の様子を16日に報道機関向けに公開した。住宅向けの制振ダンパーの発売10年を記念した事業として取り組む。
制振ダンパーとは、ゴムを使って地震の揺れを吸収する装置。揺れを吸収して建物の変更を抑えることで、建物全体が受ける損傷を小さくする。住友ゴムは揺れを吸収する性能が高い制振ダンパー専用の「高減衰ゴム」を開発し、従来は大手ハウスメーカーだけが取り付けられていた制振装置を、どのメーカーの住宅でも取り付けられるユニットとして12年に発売した。東日本大震災を受けて、住宅向けの制振に対する関心が高まったのが開発の背景だ。
超高層ビルや斜張橋など大規模な建造物の制振装置に使用していたゴムを、家庭用にも使った制振ダンパーは、これまでに7万7000棟の住宅で採用されたという。特に強い余震が発生した時に効果を発揮。制振ダンパーを担当するハイブリッド事業本部の松本達治副本部長は「震度7の揺れが続けて2回あった熊本地震で、採用していた住宅132棟は全壊・半壊の被害がなかった」と説明する。今回を機に「歴史的建造物の保全にも貢献したい」と意気込む。
はしごを寝かせた形の装置を縁の下に取り付ける(1枚目の写真)。はしごの段に相当する部分は鉄板自体はつながっておらず、間にはさんだ高減衰ゴムが鉄板をつなぐ。この装置を壁に沿う方向に4カ所取り付ける。鉄板を柱に巻きつける形で固定するため、もともとの建造物を傷つけずに取り付けられるのが特徴だ。手を加えるのに多くの手続きや許可などが必要な文化財に、法華堂が指定されていなかったことで実現しやすかった。
1995年の阪神淡路大震災以降、住宅やビルなど一般的な建築物の耐震化には関心が高まった。ただ円教寺の大樹玄承・第141代長吏は「文化財については外観が多少変化することもあり、何百年間も倒壊せず建ち続けたという実績に頼るのみという面がある」と現状を指摘。制振ダンパーが歴史的建造物の維持に実績を積み「文化財の修理などにも採用されれば、後世に建物を残すための大きな支えになるだろう」と話していた。
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