IPO 大栄環境(2)金子社長「圧倒的な処理能力ある施設群に優位性」

=(1)から続く

 大栄環境の金子文雄社長に今回のIPOや業績、株式などについて聞いた。金子社長は神戸経済ニュースの質問に対し、書面で回答した。

 ーー今回の株式公開の目的、ねらいは何か。

 「主にグループガバナンスの強化、知名度・認知度の向上が目的だ」

 「2013年9月に三重エネルギープラザというグループ最大の複合型熱処理施設が竣工(しゅんこう)して以降、14年から高い成長率を記録して、19年3月期にはグループ会社32社、従業員数は2000名を超える規模になった。この時点では子会社管理に不安を感じた。これを解決するために、コーポレートガバナンスコードに沿ったガバナンス体制を構築することが必要と考え、上場すべきと考えた」

 「加えて今後、一般廃棄物処理の民間委託が進むと考えている。当社は現状で、産業廃棄物処理で約70%、一般廃棄物処理で約20%、その他で約10%の売上をあげている。公民連携事業などにより一般廃棄物処理の割合を40%に伸ばしていきたい。そのためには市町村の住民に広く当社のことを認知いただき、知名度を向上する必要がある」

 ーー公募増資で調達した資金の使いみちは。公募株数と売り出し株数のバランスは、どう考えたのか。

 「公募増資で得た資金は、主として現在建設中の焼却発電施設(兵庫県三木市、処理能力440トン/日)と最終処分場(三重県伊賀市、664万立方メートルを収容)の設備投資に充当する予定だ」

 「公募と売り出しバランスは、次の2点から考えた。
①上場の主な目的はガバナンス強化と知名度向上の2点であり、資金調達が主な目的ではない
②(売り出し株の放出元で)資産管理会社であるウイングトワは、上場後も長期保有方針であり、IPO後の持ち株比率をなるべく高く保ちたい」

 ーー事業上の強みは何か。

 「当社の最大の強みは、地域の皆さまからのご理解のもと、収集運搬から中間処理、再資源化および最終処分に至るまで整備してきた圧倒的な処理能力を有する施設群により、地域に根差した事業を展開していることだ。また産業廃棄物に加え、一般廃棄物の許可を多く有していることも、他社とは異なる優位性だと考えている」

 ーー19年3月期から20年3月期にかけて、売上高経常利益率が大きく改善した理由は何か。このほかも年によって売上高経常利益率のばらつきが大きいように見える。

 「19年3月期から20年3月期にかけて、売上高経常利益率が16%から30%へと大きく改善したのは、営業外収益に計上する子会社からの受取配当金を大きく増やしたためだ。営業利益率で見ると16%から20%になった。これは大栄環境からの2次処理物を大栄環境内で行う比率が上昇し、グループ子会社に委託する比率が低下したことが主な要因だ。他の期も同じ要因で、営業利益率が変動している」

 「20年3月期から21年3月期にかけては、子会社から大栄環境への配当金、経営指導料、営業手数料の割合を変更したことが、単独の売上高経常利益率が主な要因だ。21年3月期から22年3月期にかけては、燃料や資材コスト増、23年3月期から24年3月期にかけては、稼働開始する大型施設への人員確保や待遇改善等による人件費増が、変動要因になる見通しだ」

 「上場に向けて、会計方針を変更してきたことも単独業績での売上高経常利益率のばらつきの要因になっている。開示しているのは直近2期分だが、連結の数値を見てほしい」

 ーー配当や株主優待など、株主への利益配分についての考え方は。

 「株主優待は予定していない。連結配当性向で30%以上を目標にしている」

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