大丸神戸店が美術画廊を新装、新富裕層に照準 国内初の「百貨店内」保税蔵置場
- 2022/10/06
- 02:34
【神戸経済ニュース】J・フロントリテイリング(3086)傘下の大丸神戸店は5日、8階の美術画廊を「gallery TOART」(ギャラリートアート)として新装オープンした(1枚目の写真)。照準は30代や40代の新たな富裕層だ。展示する作品も従来の日本画や洋画といった応接間に飾るような作品から、現代アート中心へと大きく方向転換した。新たな富裕層に人気のある現代アートの作品を積極的に取りあつかうのに加え「資産価値を意識して品ぞろえをしていく」(大丸神戸店の長谷翼ギャラリートアート店長)。
オープンして最初の企画は11日まで開催する現代アートでも注目度の高い「ストリートアート」だ。英国のニック・ウォーカーや、ノルウェー出身のドルクらの作品を集めた。12〜18日はセネガル出身で強い色彩が注目されているドウツ、19〜25日はアートバイヤーが着目した次世代の現代アーティストの作品を展示する。26日〜11月1日にはアンディー・ウォーホールや奈良美智といった、誰もが一度は目にしたことがある、現代アートのスーパースターによる作品が並ぶ予定だ。
ギャラリー内は国内で初めて「百貨店内の保税増値場」として許可を得た。関税徴収前の高額輸入品でも展示・販売できるため、これまで海外に行かないと見ることができなかった作品の品定めもできる。現時点で特に予定は決まっていないが、「今後は教科書に名前があるような作家の作品も、展示する機会を作りたい」(長谷店長)という。同時に5日から、長く大切に持つほど価値の上がる資産になり得る、バイオリンの展示・販売も実施(2枚目の写真)。数千万円クラスのものを集めた。
新型コロナウイルスの影響を受けた経済停滞からの回復局面では、株式などの資産価値が膨らんだ。だが旅行は制限があったため、拡大した富裕層の消費意欲は時計や宝飾品などの高額品に向かっている。同じ8階にある時計や宝飾品の売り場を改装したところ、余裕のある30代、40代の来店客数が増加。やはり好調だった美術に、さらなる需要があるとみて改装に踏み切った。売り場の面積も3割ほど拡大し、外商以外での美術品への需要も積極的に取り込みをねらう。
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