兵庫日銀短観、全産業DIは3期ぶり改善 価格転嫁が進展・コロナ影響は後退
- 2022/10/04
- 01:06

【神戸経済ニュース】日銀神戸支店が3日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観、9月調査)の兵庫県分では、全産業の業況判断指数(DI)が前回調査から6ポイント改善のプラス3だった。業況判断DIの改善は3期ぶり。半導体不足など供給制約の影響が緩和して製造業の景況感を下支えし、新型コロナウイルスの影響が後退したのが非製造業の景況感を押し上げた。値上げの浸透などもあり、企業の収益も改善する動きが調査結果に表れた。
調査期間は8月29日〜9月30日。兵庫県内の325社が対象で、回答率は99.7%だった。業況判断DIは景気が「よい」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合(%)を差し引いて算出する。
業種別にDIをみると、製造業ではガス給湯器などを含む「金属製品」や、油圧機器やクレーンなどの「はん用機械」のほか「非鉄金属」の改善が目立った。非製造業では「建設」「宿泊・飲食サービス」などの改善が大きかった。2022年度の経常利益については前回6月調査から上方修正。全産業でみて2.3%減と減益予想ながら、減益率は前回予想から5.4ポイント改善。特に製造業では減益率が半分以下に圧縮された。

仕入れ価格が上昇しているか、下落しているかの回答を元に算出する「仕入価格判断DI」はプラス65と、依然として高い割合の企業が上昇中とみているが、前回との比較では2ポイント低下した。特に製造業は4ポイント低下のプラス74だった。一部では原材料価格の上昇が一服したとの感触があるという。一方で「販売価格判断DI」は前回調査から横ばい過去最高水準のプラス31になった。先行き上昇するとの見方がさらに優勢だ。高止まりしている仕入れ価格を、販売価格に転嫁する動きは今後も続くとみている企業が多いことを示している。
足元の急速な円安進行は、景気に対して「プラスとマイナスの両面がうかがえる」(日銀神戸支店の竜田博之支店長)といい、輸出採算の改善と輸入価格の上昇が綱引き状態になっている。ただ各国の利上げが相次いでいることから、これまで国内景気の重要な支えであった海外景気の減速などへの警戒感は強まっている。これを「業況判断DI『先行き』の悪化が示している」(竜田支店長)とみられる。資金繰り判断DIはプラス15(前回はプラス18)と、前回調査に比べて「楽である」との回答が小幅ながら減少した。
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