川重、ヘリの「CRM訓練」を国内初の事業化 VR映像の模擬機器を開発

20220912川重CRM訓練

【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)はヘリコプター向けの「CRM訓練サービス」をヘリコプターを運航する自治体や団体向けに始めた。仮想現実(VR)映像の技術を使った練習用の模擬機器「VRシミュレーター」を開発。実際にヘリコプターを使うよりも、悪天候や故障など多様な場面を想定した訓練ができるうえ、費用も少なくてすむ。同訓練のサービスを事業化したのは日本初になるという。22年度から年1回のCRM訓練が国内の消防航空隊で義務化されたのに対応する。(図は訓練のイメージ=川重提供)

 CRM訓練は「クルー・リソース・マネジメント」の頭文字から。安全のために利用できるすべての人的資源や情報などを有効活用する、という航空事故を教訓から引き出された概念だ。多くの航空会社で有効として取り入れられてきたが、消防航空隊では22年度から義務化。ただ訓練方法を法令で定めておらず、実機でなくても義務に対応できることから、川重はシミュレーターを使った事業化に乗り出した。訓練内容は随時更新し、幅広いユーザーが訓練できるようにする。

 山岳地域の水難救助などの場合、通報を受け、飛行前のブリーフィング、現場での救助活動、救助者の病院搬送や地上救急隊への引き継ぎ、デブリーフィング(報告会)と一連の流れを訓練。この間はヘリの正副操縦士だけでなく、救助のための搭乗員・地上員らが同じ空間をそれぞれ別の角度から共有し、臨場感のある訓練ができる。ヘリコプターを製造する川重のノウハウを活かし、実機に近い操縦装置と操作性も実現した。録画映像で訓練を振り返ることもできる。

 訓練のサービス価格は訓練内容によって異なるが、実機での訓練より抑えることができるという。練習用の機材は岐阜工場(岐阜県各務原市)内のトレーニングセンターに設置した。訓練は同センターでの提供が原則だが、遠隔地での訓練については要相談としている。

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