兵庫県、コロナ発生届の先行簡略化を見送り 保険手続きの不公平感など懸念

20220831斎藤知事本部

【神戸経済ニュース】兵庫県の斎藤元彦知事(写真=兵庫県が配信した動画より)は29日に開いた新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、感染者の発生届を高齢者など重症化リスクのある人に限定する運用を見送ることを確認したと発表した。発生届の対象外になった感染者の本人確認の方法を国が示していないことや、民間の保険給付を受ける場合の手続きで不公平感が浮上するとの指摘がある点などを主な理由とした。一方で、発生届に記載する項目数は大幅に削減し、医療現場の負担を軽減する。

 新型コロナ感染者の発生届を限定し、先行して感染者の全数把握を簡略化するのは宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県にとどまると伝わっている。斎藤知事は、簡略化の適用を国に求める1回目の締め切りとされた29日夕方までに、兵庫県も国に適用申請しなかったと説明。この対応について、対策本部会議で関係者と改めて議論したところ、特に異論は出なかったという。国は9月中旬にも全国一律で感染者数の把握を簡略化する方針。その具体策が固まらない中、兵庫県は見切り発車を避けた。

 発生届の対象外になった場合、新型コロナで療養したことを示す「療養証明書」を受け取れなくなる。だが民間の保険金を請求する場合は、保健所が無料で発行する同証明書を示すのが通例だ。医師が発行する「診断書」でも代替できるが、数千円の費用がかかる場合がほとんど。全数把握の簡略化を先行することで、新たな負担が発生する診断書が必要になれば、先行して簡略化しなかった県の感染者に比べた不公平感が出てくるとの指摘は多い。

 こうした課題への対応策を示すよう、先行する4県も国に要望。兵庫県も、政府が全国一律で簡略化を実施するという9月中旬に向けて「準備が必要になるので、国に対応を要望する」(斎藤知事)とした。一方で神戸市は、医療現場のひっ迫度からみて、できるだけ早く全数把握の簡略化を求めるよう兵庫県に要望した。斎藤氏は記者の質問に答え、国が「あらかじめ(課題を)クリアにしていれば4県以外に、もっと多くの自治体が手を挙げられたのでは」と話していた。

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