神戸市、再生リンを使った肥料を実質無償に 円安・資源高で利用促進 

20220825こうべハーベスト

【神戸経済ニュース】神戸市は、下水処理で発生した汚泥から回収したリンを配合した肥料「こうべハーベスト」を、市内の農家などに実質無償で配布する。再利用した原料で作った肥料の利用を促すことで、環境保全型の農業を進めるのと同時に、肥料の価格高騰で影響を受ける農家を支援するのがねらい。JA兵庫六甲を通じて9月30日まで申し込みを受け付ける。

 肥料の3要素は「チッ素、リン酸、カリウム」とされるが、このうちリン酸の原料であるリン鉱石は全量を輸入に頼る。特に日本は中国からの輸入が多い。神戸市は2011年度から水処理大手の水ing(東京都港区)と、汚泥からリンを回収する技術開発に取り組んで手法を確立。現在は東灘処理場で回収したリンを水ingエンジニアリング(同)が買い取り、肥料を製造販売している。

 製造している肥料は主として園芸用(写真右)と水稲用(同左)の2種類だ。価格はいずれも1袋(20キログラム)で3270円。神戸市は22年度の当初予算で、新規就農者を対象に園芸用の購入費用の半額を補助する費用を確保した。だが今春以降の円安による一段の肥料高を受けて、園芸用は新規就農者以外も対象に全額、水稲用は学校給食用米生産者に対して全額を補助することを6月補正予算に盛り込んでいた。

 無償で配布する量の上限は作付け面積によって異なる。園芸用が1000平方メートルあたり8袋、水稲用が同2袋としたが、1年間で使用するのに十分な量という。神戸市の久元喜造市長は23日の定例記者会見で、「こうべハーベスト」の利用促進が「循環型社会の構築という面でも、国際情勢の激変の中で肥料を確保するという面でも重要だ」と述べ、食料安全保障にも寄与すると強調した。

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