神戸市21年度決算、2年ぶり財源対策なし 新型コロナ対策の自主負担減

20220824神戸市歳出

【神戸経済ニュース】神戸市が発表した2021年度決算は、一般会計が10億3700万円の黒字(20年度は3億円の黒字)だった。20年度に実施した財源対策は2年ぶりに実施せず、実質収支を黒字化できた。歳入・歳出の規模は、20年度に1人あたり10万円を配布した特別定額給付金がなくなった分、縮小した。一方で新型コロナウイルス対策の関連事業は国庫支出金で手当てする制度整備によって、神戸市の自主財源による負担は減少した。

 21年度の歳入は9322億円。前の年度に比べて7.7%減少した。民間企業の業績回復を受けて市税収入が3056億円と、1億円と小幅ながら増加。使用料・手数料や賃料収入なども含めた自主財源は1.4%増の3892億円だった。一方、定額給付金がなくなったことなどから国庫支出金は29.7%減(1021億円減)の2420億円だったが、譲与税・交付金や地方交付金の増加で依存財源(自主財源以外)による歳入は13.2%減(828億円減)の5431億円だった。

 歳出は9235億円と、20年度に比べて7.3%減少した。このうち新型コロナ対策事業は847億円だった。20年度の新型コロナ対策事業は1836億円で、このうち1537億円が特別定額給付金だった。この差額の299億円と21年度の新型コロナ対策を比較すると約2.8倍で、ワクチン接種体制の強化や、検査体制の強化、住民税非課税世帯へや子育て世帯への特別給付金などを支出したのが表れた。こうした新型コロナ対策事業の多くは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など国庫支出金でまかなった。

 21年度末(22年3月末)時点の市債発行残高は1兆2293億円と、前の年度末に比べて434億円増加した。このうち臨時財政対策債を除いた市債残高は109億円増の6384億円と、3年連続で増加した。21年度の新規発行債は、財源対策を実施しなかったこともあり20年度に比べて116億円減少したが、三宮再開発や駅前再整備などを積極化していることから残高は増加につながった。

20220824神戸市債残高

 一方で公債費を除いた支出と、国の交付金を代替する臨時財政対策債以外の市債発行を除いた歳入を比較した「プライマリーバランス」は200億円の黒字と、25年連続の黒字だった。財政調整基金の残高は22年3月末で146億円。1年前に比べて63億円増加した。21年度の市税収入が当初の想定を上回った分、22年度以降の交付税が減額されるのを見越し、上振れ分の60億円を積み立てたことなどが寄与した。

 国民健康保険や介護保険、公債費など特別会計の事業費は11会計の合計で3.1%増の3468億円だった。一般会計への繰入金は1583億円と、前の年度に比べて1%弱の減少だった。水道、港湾、交通などの企業会計は7会計の合計で純利益が4.8倍の30億円だった。港湾事業と水道事業の改善が寄与した。神戸市バスの「自動車事業」は6年連続の赤字、市営地下鉄の「高速鉄道事業」は2年連続の赤字だった。

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