神鋼環境・菱ガス化・化工機など、国内初の「廃プラからメタノール」で実証事業
- 2022/08/24
- 01:03
【神戸経済ニュース】神戸製鋼所(5406)傘下の神鋼環境ソリューション、三菱ガス化学(4182)、三菱化工機(6331)、廃棄物処理の大栄環境(神戸市東灘区)と子会社のDINS関西の5社は23日、廃プラスチックをガス化してメタノールを生産する実証事業を始めると発表した。廃プラスチックをガス化、メタノール化して再利用する事業は国内で初めて。海洋プラスチック問題などを背景に、急速にプラスチックのリサイクル方法の確立への必要性が高まったのに対応する。
廃プラスチックのリサイクルは現在、もう一度プラスチックなどに再生をめざすのが一般的。ただリサイクル品の品質を確保するため、廃プラスチック側に一定の純度や清浄度が求められる。一方で廃プラスチックの大半はゴミなどが混ざった雑多な廃プラスチックだ。国内で年間で回収されるプラスチック約822万トンのうち、素材や原料に再生されるのは約200万トンにとどまる。それ以外は焼却されたり、そのまま埋め立てられたりしているのが現状だ。
これに対して神鋼環境が持つ、プラスチックを分解する「流動床式ガス化」の技術を活用して、雑多な廃プラスチックの資源化をめざす。具体的には廃プラスチックを流動床式ガス化炉(図=神鋼環境の発表資料より)で廃プラを分子レベルまで分解してガス化。そのガスからメタノールを合成する計画だ。ガス化した時点で、金属やがれきといった異物を分離できる。年間で約6万トン(1日あたり200トン)の廃プラスチックから、約4万5000トンのメタノールが製造する計画。この量で従来のメタノール製法に比べ年間約10万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できる。
神鋼環境は全体の取りまとめとガス化・洗浄試験を担当。大栄環境は実証に使う廃プラスチックを提供し、菱ガス化は廃プラから合成したガスがメタノールの製造に適合するかなどを評価する。化工機はガス改質試験・評価を担当する。環境省の補助金に採択されたことで実施。協力自治体として大阪府と堺市が加わり、それぞれ海洋プラスチックの提供と、家庭ごみプラスチックの提供を担当する。実証プラントは堺市西区の大阪府エコタウンにあるDINS関西の事業所内に建設する。
1日あたり200トンの廃プラスチック処理で、生産するアルコールの価格を現在市場で流通している水準まで下げるのが目標だ。国内で使用するメタノールは全量を輸入に頼っているが、国内生産の観点からも期待がかかる。実証プランとは11月に着工し、23年9月に試運転、24年3月まで実証試験を継続する計画だ。
▽関連記事
- 関連記事
-
- FDAの冬ダイヤ、新潟便の神戸発を午前中に移動 観光・出張など使いやすく (2022/08/25)
- 和田興産、東急不と初の共同事業マンション9月発売 下山手通に大規模177戸 (2022/08/24)
- 神鋼環境・菱ガス化・化工機など、国内初の「廃プラからメタノール」で実証事業 (2022/08/24)
- ドーン、福岡都市圏消防共同指令センターに「Live119」導入 3大都市に普及 (2022/08/23)
- バンドー、伝動ベルトや搬送用ベルトなど10%値上げ 10月1日受注分から (2022/08/23)
広告
chevron_left
神戸市、須磨〜淡路の海上航路を10月に実証実験 自転車で渡る需要など検証 home
ドーン、福岡都市圏消防共同指令センターに「Live119」導入 3大都市に普及
chevron_right