兵庫県の21年度、一般会計は実質34億円の黒字 税収最高・県債残高657億円増

20220818兵庫県債残高グラフ

【神戸経済ニュース】兵庫県が18日に発表した2021年度の決算は、一般会計の実質単年度収支が217億円の実質黒字(20年度は2300万円の黒字)だった。県税収入が8737億円(20年度比726億円増)と想定以上に増えて過去最高を更新した一方で、地方交付税も増えた。この黒字額は過去最高になったが、県税収入が上振れしたことで22年度以降に普通交付税が減額される。この減額分を差し引くと実質的には34億円の実質黒字になる。新型コロナウイルス対策のため、歳入歳出とも規模は2年連続で過去最大を更新した。

 一般会計の歳出規模は20年度に比べて5737億円増(22.4%増)の3兆1373億円だった。新型コロナウイルス対策のため、飲食店向け協力金やワクチン接種会場の賃料などを含む行政経費が2678億円(73.7%増)の6315億円と大幅に膨らんだ。社会保障関係費は4.1%増の3434億円と伸びた。一方で人事院勧告に基づく期末勤勉手当の引き下げで、人件費は微減だった。公債費は、国の税収上振れを受けて、臨時財政対策債の償還を目的として県債管理基金に積み立てるための交付金425億円があったことから、473億円増加(15.8%増)の3470億円だった。

 歳入規模は5964億円増(23.2%増)の3兆1700億円だった。県税収入のうち、企業業績の回復で法人関係税は168億円増(11.1%増)の1695億円、地方消費税は輸入の増加による貨物割の増加によって381億円増(17.2%増)の2600億円だった。国からの地方交付税は726億円(24.0%増)の3752億円になった。これに加えて、新型コロナ対策の経費増や、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(3145億円)などで、国庫支出金が6904億円と2782億円(67.5%)増加した。

 21年度の兵庫県債発行額は20年度に比べ281億円増の2957億円だった。21年度の発行額のうち、本来は国が兵庫県に支払う地方交付税の代わりに発行する「臨時財政対策債」が1551億円と、20年度に比べ731億円増加したのが影響した。22年3月末時点の県債発行残高は5兆415億円と、前の年度末に比べて657億円増加した。臨時財政対策債の残高は3月末時点で1兆7519億円と、1年前に比べて860億円増加した(グラフ)。

 実質収支の黒字は継続しているほか、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率の1つである「将来負担比率」は315.1%と、20年度に比べて22.2%低下した。将来返済が必要な負債や赤字の規模と、財政の規模を比較して算出する指標だ。法律で定める早期健全化の基準である400%は大きく下回っているが、依然として他の都道府県との比較で引き続き最下位近辺の水準で推移するとみられる。

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