座面ひんやり神戸高専の「クールベンチ」商品化へ 中電工と子会社が関心
- 2022/07/23
- 03:22
【神戸経済ニュース】神戸市は22日、異常高温対策の一環で神戸市立工業高等専門学校(神戸高専、神戸市西区)が製作した座面がひんやり冷たい「クールベンチ」3代目の発表会を、JR三ノ宮駅南側の広場「&3PARK」で開催した。あわせて中電工(1941)、同社の子会社である早水電機工業(神戸市長田区)が、クールベンチの商品化に向けて神戸高専と共同開発することについても説明。早水電機工業が持つ太陽光発電などの技術を活用し、商用電源が使えない公園などにも設置できるクールベンチの開発をめざす。(写真は「&3PARK」に設置したクールベンチ)
クールベンチは、半導体の一種である「ペルチェ素子(熱電素子)」に直流の電気を流すと熱が移動し、片面が冷たく、反対面が温かくなる性質を利用するしてベンチの座面を冷やす。この原理は、すでにワインクーラーなどで応用が進んでいるほか、東京五輪・パラリンピックでも同様のクールベンチが一部で使われた。神戸高専は電気工学課の道平雅一教授と学生らが2020年からクールベンチの開発に取り組み、同年は東遊園地に、21年に王子動物園(神戸市灘区)に、それぞれ実証実験として設置。珍しさもあって好評を得た。
こうした取り組みに早水電機工業が関心を持ち、親会社の中電工とともに神戸高専へ共同開発を持ちかけた。現在使用している商用電源を太陽光発電や蓄電池に置き換え、独立電源型にすれば用途は広がる。そのためにペルチェ素子を中心とした冷却装置の効率化と小型化が必要だ。さらに販売に向けた低コスト化や、外観のデザイン改善なども進めたいという。早水電機工業の寺西範昭社長は「当社があつかう舗装型太陽光パネルなどを活用し、新しい生活スタイルに向けて、しっかり課題を解決していきたい」と話していた。
神戸高専の末永清冬校長はあいさつし、ペルチェ素子に流す電気のプラス・マイナスを逆にすると、熱が移動する方向も反転するため、冬になると座面が温かくなる「ウォームベンチ」としても利用できる可能性があると指摘した。さらに個人的な意見として「非接触で体温を測れるような、健康チェックができるベンチとしても利用できると面白いのではないか」という。その心は「クールベンチ」だけに「クールな(かっこいい)、かしこいベンチをめざしていきたい」ということのようだ。
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