アシックス、3Dプリンターで出力したサンダル 世界陸上で選手に提供

20220720アシックス3D

【神戸経済ニュース】スポーツ用品大手アシックス(7936)は設計・製造にデジタル技術を駆使したサンダル「ACTIBREEZE 3D SANDAL」(アクティブリーズ・3D・サンダル、写真=同社提供)を製作し、米オレゴン州ユージンで開催している陸上の世界選手権に出場した選手らに、競技終了後にリラックスした際の履き物として提供を始めた。同社としては初めての設計手法「パラメトリックデザイン」を取り入れた。そのうえで3Dプリンターで出力して製造した。日本でもアシックスの公式ネット通販サイトで20日に発売し、完売した。

 パラメトリックデザインとは、手書きでデザインする通常のシューズと異なり、数式化したルールに基づいて形状を組み立てる設計方式。パラメーター(変数)を変えることで、さまざまな形を作ることができる。サンダルに採用した、細かく連続した3次元の格子状の形状を設計するのに同手法を活用した。サンダル全体に細かな格子状の構造を持つことから、通常のシューズと同じ製造方法では作れず、3Dプリンターで出力することで、設計通りの形状に仕上げる。オレゴンでは選手らから、快適な履き心地などがおおむね好評という。

 3次元の細かい格子状を取り入れることで、通気性と弾力性を備え、やわらかいのに安定した先進的なサンダルを作ることができたという。同社では引き続き、競技者向けにレース後の回復や、心身の健康を増進させる製品を強化したい考えだ。一方、変数を調整することで、より個人の足の形や走り方の特徴に沿った製品に仕上げることにつながる。アシックスが在庫を持たず、購入する顧客のためだけに設計した製品を、3Dプリンターで店頭で出力する「究極の個人向け製品」の芽も出てきた。そうした観点での製品を23年以降も順次投入する計画だ。

 公式ネット通販「アシックス・オンラインストア」では、「ACTIBREEZE 3D SANDAL」を数量限定で販売したところ、発売から数分後に売り切れた。価格は税込み9900円で、S、M、L、XLの4サイズを用意したが、いずれも現在は在庫切れだ。素材は3Dプリンターで出力した合成樹脂。中国で生産した。

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