(解説)安倍元首相が死去 在任中たびたび神戸を視察・水素も後押し

20220709安倍氏所信

【神戸経済ニュース】8日に奈良県で凶弾に倒れた安倍晋三元首相は、神戸と接点が比較的多い政治家だった。大学卒業後の1979〜82年に神戸製鋼所に勤めたことばかりではなく、首相在任中もたびたび神戸を訪れた。首相として臨んだ2017年1月の通常国会での所信表明演説では、神戸で世界初の市街地での水素発電による電力供給を実施することや、世界初の液化水素運搬船による水素の国際海上輸送を取り上げた。このことで神戸が水素活用の先進地であることを国内外に印象付けた。(写真は17年1月21日の所信表明演説で=首相官邸YouTubeより)

 多くの人の印象に残った神戸訪問は、インドのモディ首相とともに新幹線で神戸を訪れた16年11月12日だろう。インドでは、ムンバイとアーメダバードを結ぶ初の高速鉄道に、日本の新幹線方式を採用すると決めた直後だった。安倍氏とモディ氏はそろって東京から新幹線「のぞみ」に乗り込み、新神戸駅では久元喜造・神戸市長が2人を出迎えた。安倍氏は、モディ氏とともに新幹線を製造する川崎重工業(7012)の工場を視察し、構想中である他の路線でも日本の新幹線を採用するよう「トップセールス」した。

 その際に安倍氏とモディ氏が兵庫県公館を訪れて、兵庫県とインド・グジャラート州が友好協定を結ぶ式典を開催した。憲政史上最長の在任期間になった安倍氏が首相から退任する際、当時の井戸敏三知事は、安倍氏とモディ氏が「立会人」になって友好協定を結んだのを「印象的だった」と振り返った。このほか安倍氏は17年6月などに神戸医療産業都市を訪れ、理研の多細胞システム形成研究センター(CDB)や、当時のスーパーコンピューター「京」などを視察した。

 久元市長は安倍氏が銃撃によって死去したとの報を受けて発表したコメントに、「神戸の発展のために様々なご支援を賜(たまわ)りました。心より感謝申し上げます」とあったのは、こうした経緯をふまえたものだ。神戸商工会議所の家次恒会頭(シスメックス会長兼社長)も「医療産業都市はじめ、地域を代表する多くのプロジェクトの進展にご支援をいただいた」と述べた。安倍氏は亡くなる前日の7日、偶然にも神戸・三宮で応援演説した。神戸製鋼の加古川製鉄所に勤務していた時代、週末によく三宮を訪れていたことも振り返っていた。

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