川重が子会社で検査不正、84年から 「業績に大きな影響見込まず」

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【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)は7日、子会社の川重冷熱工業で製造販売した空調システム用の吸収式冷凍機で、実際には計測していないデータを検査成績書類に記載するなどの成績表のデータ改ざんなどの不適切な行為があったと発表した。データ改ざんは1984年から2022年春まで続いていたという。川重冷熱は7日に臨時の株主総会と取締役会を7日に開き、不正を知りながら放置した篠原進・川重冷熱社長を解任。後任に森宏之氏が就く人事を発表した。(写真中央は川重の本社が入るビル=資料)

 川重の渡辺達也専務執行役員と、川重冷熱の新社長である森氏がテレビ会議システムを通じて記者会見して経緯などを説明した。不正は2つのケース。1つは出荷前の試運転を能力の90%程度で実施しておきながら、100%の能力で試運転したとデータを書き換えて検査成績書に記載したもの。1984年から2022年まで1950件あった。このうち、顧客が立ち会って検査した際は、計測器の目盛りを不正に操作して冷房能力100%で運転しているように見せかけ、顧客に事実とは異なる説明したものも334台あった。

 もう1つは1986〜2009年に販売した吸収式冷凍機は86年に定められたJIS(日本工業規格)の性能に合致していなかったにもかかわらず、「JIS準拠」とカタログや仕様書などに記載して販売した。6機種が対象で、09年までに全機種が販売を終了。現在は2944台が稼働しているという。

 川重冷熱のアフターサービス部門の担当者が21年8月、顧客に提出した検査成績書類と、社内試験の結果が異なることに気づいて上司に報告。川重冷熱は検査成績書類提出状況を調査し、不正検査などを実施した機種の台数を確認した。加えて、現在稼働中の同社機である約9600台についてはJISが定めた範囲内であることを確認した。今後は弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、詳しい原因や、なぜ40年近く不正が続いたかなどを検証。そのうえで対策を立てる構えだ。

 今回の事態に対応するためのコストなどについて渡辺専務執行役員は、「具体的には個別の契約に基づいて、お客さまに説明・対応することになるが、業績への影響は大きくは見込んでいない」という。出荷した冷凍機の性能には問題がなく、無償での交換などは現時点で不要とみられる。4月からは検査通りの数値を顧客に報告しているという。一方でカタログや仕様書への虚偽記載は、不正競争防止法などに触れる可能性があるという。

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