(解説)神戸市内31社の23年3月期、会社予想は増収増益 原燃料高は転嫁進む
- 2022/05/30
- 03:01
【神戸経済ニュース】神戸市内に本社を置く3月期決算の上場会社31社について、各社が開示した純利益の2023年3月期予想を合計すると、前期比8%増の2215億円になることが分かった。売上高は11%増える。好調な外需が引き続き輸出型企業の収益をけん引。新型コロナウイルスの感染拡大による消費への影響も後退し、総じてみると増収増益見通しだ。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻や原材料高に燃料高、物流費用の高止まりなどは引き続き逆風になるとみる。だが現在の情勢は流動的と考える経営者は多く、業績予想の前提が変わる可能性に期待感と警戒感が両面あるようだ。
22年3月期の決算短信に掲載した業績予想を集計した。純利益は「親会社の株主に帰属する当期純利益」など最終利益。売上高は、国際会計基準の売上収益、国内基準の営業収益など売上高に相当する収入を採用した。前期の発表数値と今期の会社予想をそれぞれ単純合計した。前期と今期で会計基準を変更する場合などは考慮していない。
■過半数が収益改善を予想
半面、今期の減益を見込むのは13社。最も減益額が大きいのは山陽電気鉄道(9052)で、前期比38億円の最終減益を見込む。前期には舞子ホテル(神戸市垂水区)の売却益67億円を特別利益に計上していた。減益率が最も大きいのも山陽電。次に減益率が大きいのはノザワ(5237)で42%減益になる。新型コロナの影響でビルなどの着工件数が減少する影響が残るほか、原材料価格の高止まりで前期に計上した特別利益額よりも大きな減益額になる見通しだ。
■原燃料高の価格転嫁は進展
このほかウクライナ情勢や外国為替相場なども、総じて「いつにも増して先が見通せない」との声は多かった。そうした中でも増収増益が見通せるのだとすれば、環境が改善すれば意外に大きな増収増益になる可能性もあるだろう。こうなると最大のリスクは各社の収益の源泉になっている海外需要の後退だ。この先の神戸の景気を見極めるうえでは新型コロナによる個人消費への影響に加え、海外景気の動向や、貿易統計や神戸港港湾統計といった貿易に関する統計への注目度が高まりそうだ。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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