山口神戸鋼社長、CO2実質ゼロ鋼材「2030年に100万トン」想定

【神戸経済ニュース】神戸製鋼所(5406)の山口貢社長は19日にテレビ会議システムを通じて開いた中期経営計画の進捗説明会で、17日に発売した二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロと計上する鋼材「コベナブル・スチール」について、「2030年ぐらいには約100万トン規模の低CO2鋼材が販売できるようになる」との見方を示した。同社は排出量実質ゼロのコベナブル・プレミアと、実質50%削減のコベナブル・ハーフの2種類を販売する計画だが、販売できる量は全量プレミアと仮定して計算したという。22年の販売量は8000〜9000トンを見込む。

 コベナブル・スチールは、同社が開発したCO2を2〜4割削減できる製鉄法を使い、削減した排出量をクレジット化。販売する鋼材に付与することで、実際に排出したCO2をオフセットする。これまでの試験操業で削減したCO2排出量は、英DNVが2万1241トンを認定しており、コベナブル・スチールの販売はこれに見合った量として8000〜9000トンの販売を想定する。山口社長は「今後、高炉へのBHIの利用拡大や、バイオマスなども含めCO2の削減量が増えるに従って、低CO2鋼材の販売は増えていく」と話した。

 神戸製鋼はCO2排出量について、生産工程で30年に30〜40%、50年に実質排出ゼロをめざす。技術・製品・サービスでは30年に6100万トン、50年に1億トン以上の排出削減をねらう。30年の段階では、「生産工程」では還元鉄の活用など高炉での排出削減、「技術・製品・サービス」では天然ガスを還元材として鉄鉱石から還元鉄を取り出す技術「ミドレックス・プロセス」がCO2削減の中心になると見込む。還元鉄の外部販売は、他社が製鉄工程でCO2を削減するのに寄与。山口氏は、特に「ミドレックスは当グループの強み」と強調していた。

 大量のCO2を排出する高炉での排出削減が行き詰まる可能性も念頭に、現在は高炉でないと製造できない高級鋼板を大型の電炉で製造する技術の研究開発も続ける。このほか水素の活用、「CCS」「CCUS」と呼ばれるCO2の回収、貯留、活用などの技術も並行して研究を進める方針だ。

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