住友ゴム「タイヤがセンサー」技術、30年の事業利益100億円に 事業説明会

20191024山本住友ゴム社長

【神戸経済ニュース】住友ゴム工業(5110)は22日に開いた事業説明会で、タイヤ自体をセンサーとして活用し、タイヤの空気圧や路面状態などを計測する独自技術「センシングコア」を使ったサービスの事業利益(国際会計基準)を、2030年に100億円規模まで拡大する方針を示した。現在検知できるタイヤ空気圧、タイヤ荷重、路面状態、タイヤ摩耗の4種に加え、車輪が脱落する予兆の検知や、スポーツカー対応などの機能追加を検討しているという。そのうえで電気自動車(EV)が搭載する基本ソフト(OS)に組み込むことで、市場への浸透をねらう計画を明らかにした。(写真は住友ゴムの山本悟社長=資料)

 センシングコアは、タイヤの回転情報、エンジンの情報、タイヤの接地面の剛性(変形しにくさ)の情報から、独自のアルゴリズム(計算式)によってタイヤ空気圧、タイヤ荷重、タイヤ摩耗、路面状態をリアルタイムで把握するソフトウエアだ。特別な部品を取り付けないことから仕組み自体のメンテナンスが不要という利点がある。自動車をネットに接続すれば、リアルタイムでの情報共有も可能になる。

 同社はレンタカー会社などを対象に、すでにタイヤ内の小型センサーを伴うタイヤ空気圧監視システム(TPMS)を装着したサービスを昨年発売した。タイヤ交換の時期を的確に把握するのに役立つとして、データを提供するサービスの意義を確認したという。22年からはセンサーを装着せずに、ソフトウエアを搭載するセンシングコアの実証実験を開始。自動車メーカーのOSに提供し、23年に販売を始めて「検知機能としてのトップシェアをめざす」(松井博司執行役員)。

 自動運転車でも滑りやすい路面では減速する必要があり、タイヤがパンクすれば停車する必要がある。従って路面状態やパンクの検知などは必須の技術になるため、自動運転技術との親和性が高いセンシングコアに大きな需要を見込めるという。一方でセンシングコアは、タイヤ材料の特性などを把握していなければ、通常とは異なるデータを異常かノイズか見極めにくいなど、タイヤメーカーならではのノウハウでもあるという。

 ソフトウエア製品のため材料の仕入れなどが不要のほか、「投資額の大半は人件費で、特別な設備投資などは必要なく、利益が出やすい」(西口豪一専務)。EVの普及が進む中国には、センシングコアの専門部署をすでに設置した。山本悟社長は「EV車の進化の度合いによって事業規模の変わってくると思う」としながらも「タイヤ、スポーツ、ハイブリッド(産業品)の3つの事業に加えて、第4の事業にしっかり育て上げて、社会に貢献したい」と話していた。

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