北斎も驚く?「富岳百景」に800人超が参加 スパコンの成果や可能性を紹介

20220329富岳

【神戸経済ニュース】高度情報科学技術研究機構(RIST)は29日、スーパーコンピューター「富岳」(写真=資料)の利用開始から1年を記念して、同コンピューターでの研究成果や今後の展望などを紹介する一般向けイベント「富岳百景」をテレビ会議システムを通じて開催した。世界ランキングでは主要4部門で4期連続の世界一を獲得したスーパーコンピューターについて学べるとあって関心を集めた。さらに江戸時代の版画家・葛飾北斎の「富嶽(がく)百景」に引っ掛けたことで気軽に参加した人もいたようで、研究者・一般の合計で840人から参加の申し込みがあったという。

 主に富岳を使った学術的な研究について紹介。午前10時から午後5時過ぎまで1日かけて、第一線の研究者が成果について説明。取り扱った分野は「防災」「医療・生命科学」「新素材開発」「ものづくり」「宇宙・素粒子」と幅広く、まさに「百景」だ。なかでも日本学術振興会・世界トップレベル拠点形成推進センターの宇川彰センター長は記者団の取材に対し、富岳を「解像度の高い顕微鏡」「倍率の大きい望遠鏡」にたとえて、コンピューターの性能向上によって研究が進む期待が高まることを説明していた。

 イベントは文部科学省が企画した。一般向けのイベントを企画した理由について計算科学技術推進室の宅間裕子室長は神戸経済ニュースの取材に対し、未知の感染症まん延や、自然災害の激甚化などもあり「世界最高水準の『富岳』をさらに活用し、その成果を適切に社会へ還元していくことが重要」と強調。このため「世界最高水準のスーパーコンピュータを国が整備することの必要性について、理解いただくことも重要」とあって、多くの人に分かりやすく成果を説明する機会を開きたいと考えたと説明した。

 参加を申し込んだ約840人のうち研究者は約390人、一般は約450人だったという。一般には約50人の大学生・中高生もいたといい、研究者をめざす若者の関心も集めたようだ。スーパーコンピューター「京」の時代には開催していたコンピューターの一般公開などは、新型コロナウイルスの感染拡大もあって足元では簡単に実施しづらいのが実情だ。そうしたなかでも文科省や研究機関などは一般向けの行事や、広報用ホームページの運営などを通じて、幅広い層から「富岳」への理解を得たい考えだ。

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