神戸市、用途地域を大規模見直し 市街化区域の1割弱・物流施設の容積率緩和も

20220311久元市長

【神戸経済ニュース】神戸市は10日、都市計画法に基づいて定めた「用途地域」を大規模に見直すと発表した。見直しの対象は1600ヘクタール程度と、市街化区域(約2万ヘクタール)の1割弱にも広がる見通しだ。これまで住環境の確保や乱開発の抑制などを目的に定めていた用途地域を、社会情勢の変化に合わせた土地利用の多様化に対応できるようにする。港湾部や産業団地などでは容積率の緩和も実施する。近く見直し案を公表し、住民らの意見も聞いて23年度に正式決定する。久元喜造市長が同日の定例記者会見で発表した(写真)。

 住宅団地では高齢化が進み、自宅の町内にコンビニエンスストアなど小規模な店舗を求める声が増えている。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にテレワークが普及し、自宅近くに商業施設があれば便利といった事情も出てきた。だが、戸建て住宅が並ぶ地域で「第1種低層住宅専用地域(1低専)」に指定の地区では、独立した店舗が出店できない。こうした場所は店舗も建てられる「第2種低層住宅専用地域(2低専)」に変更するなど、地域の土地利用の需要に、柔軟に対応するのが今回の見直しだ。

 都市計画法は1968年に制定され、神戸市では1970年に用地用途を割り当てる最初の「線引き」を実施した。その後、7回の見直しを実施したが1回の見直しは数十〜百ヘクタール規模にとどまってきた。さらに社会情勢の変化に合わせた見直しは今回が初めてだ。住宅地内の広い公園には、喫茶店や売店などが建設できるようにしたり、幹線道路沿いでは建てられる店舗の規模を大きくしたりといった見直しも実施。大規模物流施設の需要が増加したのに合わせ、ポートアイランドなど港湾部や、内陸部の産業団地では、容積率を200%から300%への緩和も実施する。

 17日に各地域の見直しの詳細を発表。市内全戸に配付する神戸市の広報紙4月号にも見直し案の詳細を掲載する予定だ。5月2日まで見直し案への意見募集、4月3〜19日に個別説明会も開く。8月1日まで用途地域見直しの提案を受け付けたうえで、10月ごろに意見や新たな提案を取り込んだ修正案して公表する。年内にも都市計画案の縦覧、年度内にも都市計画審議会の答申を得て、23年6月ごろにも都市計画決定を実施する計画。久元市長は今回の見直しについて、人口減少や高齢化など「根本的な地域社会・経済社会の変化に、トータルな視点で横串を通した」と説明していた。

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