スパコン「富岳」利用開始1年、産業利用「順調」 新幹線や医薬品の開発にも

20210309富岳利用開始式典

【神戸経済ニュース】神戸市中央区のポートアイランドに設置したスーパーコンピューター「富岳」は9日、利用開始から1年が経過した。世界最高性能でありながら、多くの応用ソフトが利用できる仕様としたことなどで世界的にも存在感を示してきた。これもあって設計当初からめざした幅広い産業での利用が「順調」という。8日までには民間企業149社が富岳を利用と、前世代のスーパーコンピューター「京」の2倍のペースで企業の利用が進む。すでに2022年度の利用申し込みも集まっているという。(写真は2021年3月9日の「富岳」利用開始式典)

 国内にあるスーパーコンピューターの利用を促進する「高度情報科学技術研究機構」(神戸センター、神戸市中央区)によると、「京」は利用開始から4年間で153社が利用した。富岳はほぼ同じ利用社数を2年で達成したことから、2倍のペースという計算になる。すでに22年度にも産業向けに17件の課題で利用の希望があり、このうち15件の課題で富岳を利用することが決まった。

 「京」に比べて利用までの手続きを簡素化したほか、コンピューター資源を部分的に使用する「お試し利用」や、成果・報告書を公開することで無償で利用できる制度などを設定。企業が初めてスーパーコンピューターを使う際のハードルを下げたことで、有償での富岳の利用を誘うことにもつながっている。1月からは、さらに少量のコンピューター資源の利用で、報告書の代わりにアンケートに答える形の無償利用プラン「ファーストタッチオプション」を導入。初めてスーパーコンピューターを使う企業をさらに呼び込むのがねらいだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、飛沫の拡散に関するシミュレーションなどが使用開始当初から注目された。このほかにも公開された利用報告書によると、川崎重工業(7012)は新幹線がトンネルに入る際の衝撃波を抑えるため、車両やトンネルの設計に関するシミュレーションを実施。中外製薬(4519)は創薬に向けた分子シミュレーションを従来に比べて短時間で終えることができたという。民間企業はスーパーコンピューターによる「成果の社会実装という観点で重要な役割をになう」(文科省の計算科学技術推進室)といい、引き続き多くの利用を促したい考えだ。

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