兵庫県、本庁舎建て替えいったん凍結 税収見通し引き下げ・県政改革方針案

20200420兵庫県庁

【神戸経済ニュース】兵庫県の斎藤元彦知事は16日、税収見通しを引き下げて本庁舎の建て替えなどをいったん凍結することなどを柱とした行財政運営方針を見直す「県政改革方針」の案を発表した。今回の案を「一次案」として、議会や県下の市町などからの意見を聞き、2022年2月の定例議会に県政改革方針として提出。「行財政の運営に関する条例」の改正などにつなげる。7月の選挙戦以来、スローガンとして掲げる「躍動する兵庫」の実現に向け、役割の薄れた既存事業の廃止や縮小などで新たな財源を捻出する。(写真は兵庫県本庁舎=資料)

 本庁舎の建て替えは、完成から50年超が経過して耐震性能が低下していることから、井戸敏三前知事が18年に打ち出した。ただ新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対策の事務に追われたことや、税収の下振れが懸念されたことなどを背景に議論がストップ。事実上凍結状態だった。元町や諏訪山地区の再整備などを含めて、22年度に改めて議論したい考えだ。このほか大型投資事業は、阪神北県民局と阪神南県民センターの統合に伴う伊丹庁舎の整備や、明石公園などを想定した大規模アリーナ整備も凍結する。

 加えて事務事業も59事業を見直すブラジル事務所と西豪州・ひょうご文化交流センターの海外事務所2カ所を廃止。市町向けの「ひょうご地域創生交付金」も廃止。「新事業創出支援事業貸付」「チャレンジ起業支援貸付」といった制度金融を廃止し、スタートアップ関連施策の充実につなげる。「市街地再開発事業」については22年度以降に新規着手する神戸市内の事業には、兵庫県の補助を廃止する。このほか神戸マラソンは23年度以降に主催者から外れ、協賛者に移行することも盛り込んだ。

 大型投資や事務事業の大きな削減に踏み切ったのは、税収見通しを引き下げたためだ。税収に連動する経済成長率の想定を、内閣府が提示している慎重な予想「ベースラインケース」まで引き下げた。従来の試算では28年度(令和10年度)までの収支不足額は、従来330億円を見込まれていたが、新たな想定では440億円になる。加えて自治体財政の健全性指標の1つである実質公債費比率が上昇し、24年度には地方債の発行に総務省の許可が必要な18%にまで上昇する。これを、事業の縮小によって圧縮するねらいもある。

 一次案の時点では、事務事業の削減では現時点で効果が算出できるものを合計すると574億円(一般会計ベースでは166億円)の支出削減を見込む。大型投資なども含めると1300億円の削減効果になる見通しだ。一連の見直しは22年度予算から反映する計画だ。22年度の施設維持費などは21年度当初予算の同額以下、経常的経費や政策的経費は80%以下の一般財源を予算要求枠とした。経費削減で22年度予算に生まれる8億円程度の新たな財源は「新県政推進枠」として、25年の大阪・関西万博を意識した費用などに充てる。これらを踏まえて①収支②実質公債費比率③将来負担比率④経常収支比率ーーの4指標で新たな目標を作成する方針だ。

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