赤沢神栄社長「復配につながる道できた」 6期ぶり増収へ・インタビュー

20211214赤沢神栄社長

【神戸経済ニュース】神栄(3004)は2022年3月期に6期ぶりの増収を確保する見通しだ。アパレル小売りなどの不採算事業から撤退を前期に完了。撤退に関連して20年3月期まで2期連続の最終赤字を計上、今期まで4期連続で無配の予定だ。今後は収益性が改善する見通しだが、どう反転攻勢に出るのか。「食品関連」「物資関連」「繊維関連」「電子関連」の4分野ある同社の事業について、相乗効果や今後の見通しなどを赤沢秀朗社長(写真)に聞いた。(聞き手は神戸経済ニュース編集長 山本学)

 ――2010年代に業績が悪化した背景は何ですか。

 「繊維関連のうち、不採算事業だったアパレル小売事業とレッグウエア(靴下)事業からの撤退を2019年8月に最終決断したが、この撤退を決めるまでには慎重に検討したので、時間がかかったことだ。もっと早い段階で撤退することも考えられたが、財務面へのインパクトが大きすぎ、その他の面でも影響が大きくなるのは分かっていたので、最適なタイミングを探ろうとするうちに撤退の時期が遅れてしまった。加えて繊維関連の中でも、小売業態への事業展開に対する思い入れもあった」

 「ただ繊維関連は縮小均衡させることで採算性が改善する。加えて農業事業からも撤退し、タイでの冷凍食品卸売も事業の整理に入った。これで不採算事業からの撤退は、おおむね一巡したといえる。繊維関連では量販店、ホームセンター、テレビ通販といった経路で販売する実用衣料が順調だ。今後はグループ全体として売上高も回復する見通しで、利益も積み重ねていきたい」

 ――2021年3月期で連結売上高の67%を占め、最も大きな事業分野(セグメント)が食品関連です。

 「食品関連は主力の冷凍食品で、業務用が新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。ただ比較的早い段階で量販店向けの販売や、総菜などの市販品メーカーへの材料供給にも注力したため、覚悟したほど大きな打撃にはならなかったと思う。今後は業務用が立ち上がってくることに期待したい。ただ原材料の値上げや海上運賃の高騰に加え、円安の逆風に警戒している」

 「中長期的には食品関連が稼ぎ出す利益の比率は低下するとみている。現在の中期経営計画では、24年3月期の連結経常利益に12億5000万円の目標を掲げている。各セグメント利益の合計のうち食品の占める割合は56%を想定した。前期(連結経常益6億7600万円)は66%だったが、金額は伸びて比率は低下する計算だ。繊維事業を縮小均衡することによる採算改善と、電子関連の事業拡大を見込んでいるからだ」

 ――電子関連では、新型コロナのワクチン輸送に温度計測機が採用されました。

 「電子関連の中核子会社である神栄テクノロジーが開発した、温度を計測・記録する『データロガー』は、ワクチン輸送に採用されて注目されたが、もともとは食品や医薬品の幅広い物流分野を念頭に開発した。食品でのコールドチェーン(低温物流)の普及、医薬品の流通適正基準(G D P)の日本版などで温度管理は厳格化の方向だ。だが現状では手書きで温度を記録することも行われており、トラック運転手への負荷が大きく、転記ミスやデータ改ざんの可能性も残る。温度計の記録を自動化、クラウド化すれば温度管理の正確さを前面に打ち出せるようになる」

 「データロガーの引き合いは、食品関連で取引のある運輸会社からもいただいている。食品関連をグループに持つことで、低温物流でのドライバーへの大きな負担に気づくこともできた。食品と電子は一見、関連しなさそうだが、相乗効果の1つの例といえるだろう。相乗効果という点では、物資関連と電子関連の間にも生きている。電子分野の神栄テクノロジーが国内で製造し、当社の物資分野のノウハウを活用して輸出している製品も多い」

20211214神栄の業績推移

 「電子関連では、神栄テクノロジーの落下試験機が米IT大手のスマートフォンの落下試験の標準機になっている。同社の協力工場にはすべて神栄テクノロジーの落下試験機が入っている。また電子関連の主力製品である空気清浄機用途のホコリセンサーも輸出が多い」

 ――今後の利益成長をけん引するのは、電子関連ということでしょうか。

 「おそらくそうなるだろう。フィルムコンデンサーなどを製造販売する子会社の神栄キャパシタは、自動車産業向け品質管理システムの国際規格である『IATF16949』を取得した。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及により充電・蓄電装置や、自動車全体の電動化によるフィルムコンデンサーの需要増も追い風にできると考えている。さらには自動車内の空気環境改善の観点から需要が伸びている、車載用のホコリセンサーにも積極的に対応したい」

 「物資関連では、アゼルバイジャンでの防災コンサル事業が再び動き出せば、比較的大きな規模の事業になると考えている。隣国アルメニアとの領土問題で戦争があった影響で事業を停止したが、停戦から1年以上が経過した。アゼルバイジャンではこれまで、防災・インフラ整備関連の調査や資材調達などの実績がある。現在は在日アゼルバイジャン大使館とも連絡を密にして、プロジェクト開始の時期をうかがっている」

 ――復配についてはどう考えますか。

 「できるだけ早く復配したいが、法定の配当原資である利益剰余金が十分でないのが現状だ。無配が続いているのは、株価が伸び悩む大きな要因だと認識している。財務内容の安定化は意識しつつも、不採算事業からの撤退を終えたことで、収益を確実に積み上げることにより早期の復配につながる道はできたと思っている」

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