東京一極集中「大都市の権限強化で対策を」 神戸・浜松・横浜3市長が議論

20210302指定都市市長会シンポ

 神戸市の久元喜造市長(写真右=指定都市市長会が配信した動画より)は2日に開いたシンポジウム「なぜ大都市制度改革が必要か」でパネル討論に参加し、「これだけ東京一極集中が問題になっているわが国においては、もっと都市が権限を持って、そして住民の中にしっかり根を下ろして役割をはたすことができる制度改正をすべきだ」と主張した。久元市長は全国に20カ所ある政令市の市長で構成する指定都市市長会で、「特別自治市」の制度化に向けた専門のプロジェクトチームのリーダを務める。

 久元市長は多様な大都市制度を持つ国としてドイツを例に挙げた。首都ベルリンのように州から独立した大都市がある半面、フランクフルトのように州に属しながらも大きな権限を持ち、世界的に存在感を持つ都市など、多様な制度が都市の特性に応じた成長を促している点を強調。国内では、大都市制度が「政令指定都市」以外にほぼ存在しないことが個性のある都市の成長を妨げ、東京一極集中の要因の1つとの見方を示した。

 同じくパネル討論に参加した浜松市の鈴木康友市長(写真中)は、浜松市の人口が佐賀県や福井県と同程度で、面積が島しょ部を除く東京都とほぼ同じと説明。政令市は都道府県にも匹敵する規模の基礎自治体であることを示した。一方で、最も人口の多い横浜市(372万人)と、最も少ない静岡市(70万人)では5倍以上の開きがあり、政令市といっても一様でないと説明。国会議員を2期務めた経験を生かし、多様な大都市制度を認める「制度改正に向けた(国会議員への)働きかけをしていきたい」と語った。

 指定都市市長会では、導入を目指す「特別自治市」の要件や定義を検討すると同時に、地方自治法にどう位置付けるかといった、法改正案の作成までをめざす。同じくパネル討論に参加し、指定都市市長会の会長を務める横浜市の林文子市長(写真左)は、新型コロナウイルス感染症対策の権限が都道府県知事に集中しているが「特措法に基づく道府県の権限を財源と合わせて指定都市に移譲していただければ、地域の実情に応じて迅速に感染症対策ができる」と強調した。

 パネル討論に先立って基調講演した北海道大学の宮脇淳教授は、国、都道府県、市町村という「階層化によって生じた情報の非対称性を克服する必要があり、基礎自治体(市町村)の体力によっては2層性もありうる」と指摘。多様な都市の形を許容する制度設計が、「地域の活力を生み出す原動力になる」と語った。シンポジウムは指定都市市長会が主催。新型コロナウイルス感染症対策のため、会場に聴衆は入れず、テレビ会議システムを通じて動画を配信した。司会はアナウンサーの渡辺真理氏が務めた。

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