新たに3経路で神戸港利用をトライアル 航空便から船便への転換も
- 2020/11/17
- 23:36
神戸市と港湾管理会社の阪神国際港湾(神戸市中央区)は2020年度に、3つの経路で神戸港を活用して試験的に貨物を輸送する「トライアル事業」を実施している。すでに3経路とも事業に着手した。今回は東京港を回避することによる正確な輸送スケジュールの確保や、果物の輸出量増加に伴う航空便から船便へのシフトといったトライアルを実施。新たな輸送経路の確立に期待が高まっている。多様化する物流サービスへの需要に対応できるかが鍵になりそうだ。
伊藤忠傘下の総合物流会社である伊藤忠ロジスティクスは、上海向けの貨物を東京港を起点とした従来の輸送方法から、神戸まで鉄道貨物として輸送し、海上コンテナには神戸で貨物を詰めて、船積みする方法を9月に試した。東京港周辺ではコンテナ詰めできる倉庫がひっ迫しているうえ、重要物を運べるコンテナトレーラー「3軸シャーシ」(写真=阪神国際港湾提供)の不足が影響して、スケジュールが不安定になるのを回避する。
東京から神戸まで鉄道を使う分、運賃の合計は高くなる。だがスケジュールを重視する際に利用できる輸送ルートであることを確認したという。この方法での輸送は、上海以外の行き先や、コンテナの中身を問わず当てはまる可能性も確認できた。
果物を輸出する日本農業(東京都品川区)は山梨県産シャインマスカットを強度の高い梱包材を利用し、台湾に冷蔵コンテナを使って輸出した。輸出量が増加するのに伴い、航空便では高い運賃を船便に切り替えて抑えるのがねらい。荷崩れしない輸送方法や、鮮度保持について検証。航空便では2〜3日のところ、船便では船積みの前後も含め1週間かかる。新たな輸送ルートとして使えるかは今後、香港向けの輸出も試して判断する。
クボタ傘下の中四国クボタは地方港に少ない、神戸港周辺の定温倉庫に着目。四国産の玄米を神戸港の定温倉庫に集積し、輸出先である香港での需要に合わせて冷蔵コンテナで輸出する。すでに神戸への集積は始めており、第1弾の出荷は12月中の船積みを計画している。
▽関連記事
- 関連記事
広告
chevron_left
「我が国のスパコン政策は正しかった」 理研の松岡計算科学研究センター長 home
神戸港、7月のコンテナ総取扱個数14.8%減 輸出入・国内輸送とも減少
chevron_right