神戸市、多井畑西地区の里山を保全・活用へ 29ヘクタールをURから無償取得

20200730多井畑西地区

 神戸市は29日、須磨区と垂水区にまたがる多井畑(たいのはた)西地区(約72ヘクタール、写真=神戸市提供=白線内)のうち29ヘクタールを取得したと発表した。都市再生機構(UR)が神戸市に無償で譲渡した。同地区は市街化区域で、これまで住宅や商業施設の開発計画が浮上したが、何度もまとまらなかった経緯があるという。神戸市は開発せず里山や農地として保全する方向に転換し、大都市の住宅地の中にありながら、自然に触れることができる場として活用したい考えだ。

 29日の定例記者会見で久元喜造市長が発表した。多井畑西地区は須磨区多井畑と垂水区下畑町にかかる。URが住宅開発を目的に土地を取得していたほか、開発を希望していた地権者もあり、神戸市は市街化区域としてきた。だが開発計画がまとまらないうちに人口減少時代に入り、地権者の間でも「現状のまま保全したいという雰囲気が醸成されてきた」(久元市長)という。周辺では民間の住宅などが十分に供給されていることもあり、URも土地を手離すことを決めたとみられる。

 72ヘクタールのうち山林原野が53%、田畑が34%だ。神戸市が取得した土地の周辺では、生産緑地に指定されている耕作地もある。神戸市は今後も耕作が続けられるよう、里道の改修など営農環境の維持をめざす。加えて耕作放棄地は積極的に活用し、体験農園やハイキングなどで都市の住民が自然と触れ合う場にする。ボランティアやNPOとの連携などで竹林も適正に管理したい考えだ。こうした里山保全活動で、生物多様性の維持にもつなげる。

 住宅開発が活発だった昭和の高度成長期よりも前の景観や自然地形、農地などを大都市の中に残す取り組みとしては、横浜市戸塚区の舞岡公園がよく知られる。神戸市による今回の取り組みも同様に、都市の利便性と里山の豊かさという両面を備える住宅地として、須磨区名谷や垂水区桃山台など隣接する住宅地の価値を高める可能性もある。久元氏は多井畑西地区について「幅広く神戸市民のみなさんが(新型コロナウイルスと共存する)ウィズコロナ時代の中でのびのびと活動していただけるような保全、活用、整備に取り組みたい」と語った。

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