無人運航船の実証実験、井本商運「みかげ」が参加 日本財団が8割助成

20200615井本商運みかげ

 内航コンテナ最大手の井本商運(神戸市中央区)は15日、商船三井が取りまとめて8社で実施する無人運航船の実証実験に参加すると発表した。各社が開発した要素技術を持ち寄り、離岸から着岸までをすべて自動化した船舶の運航を、実際の航路で実証する。井本商運は実証船として、同社が運航する749トン型の内航コンテナ船「みかげ」(井本船舶が保有、写真=井本商運提供)を提供する。同船での実証実験は2021〜22年に、敦賀〜境港の航路で実施を予定する。

 実証実験では商船三井が全体の調整やリスク評価を担当する。古野電気が周囲認知技術、三井E&S造船が避航操船や離着岸の自動化技術をそれぞれ提供。商船三井傘下で海事コンサルを手がけるMOLマリンによるシミュレーターで機能検証する。そのうえで、商船三井フェリーのカーフェリー「さんふらわあしれとこ」と井本商運・井本船舶の「みかげ」で実験航海する。船舶を係留するためのロープを自動的に船から陸に運ぶ技術は、ドローンの販売や操作を手がけるセキド(東京都国立市)が開発する計画だ。

 まず20〜21年に「さんふらわあしれとこ」で実際に営業運航している大洗〜苫小牧で実証運航を実施。その後「みかげ」で実証運航する計画だ。船型や設備が異なる2種類の船舶で実証実験することで、はん用性が高い技術開発が可能と考えたという。実用化することで、船員の高齢化による将来の担い手不足の解決策になる。さらに海難事故の約7割の原因になっている人為的ミス(ヒューマンエラー)を減らし、より安全に運航できるようになるとみる。

 この実証実験は日本財団が12日に、計34億円を助成すると発表した無人運航船の開発を目指す5つの実証実験の1つ。実証費用の8割に日本財団の助成金を当てる計画だ。日本財団は商船三井のほか、三菱造船(スマートフェリーの開発)、丸紅(無人運航船@横須賀市猿島)、日本海洋科学(無人運航船の未来創造)、ITbookホールディングス(水陸両用無人運転技術の開発)がそれぞれ代表を務める実証実験を助成対象に採択すると発表していた。

 日本財団は25年には実用化し、40年には船舶の約半分が無人運航船に切り替わっている将来を想定。その際の経済効果は1兆円になるとみている。

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