(動画)世界初の液化水素運搬船、船名に「すいそ ふろんてぃあ」 川重で進水式



 川崎重工業は11日、神戸工場(神戸市中央区)の第4船台で、世界で初めて建造した液化水素運搬船の船名を「すいそ ふろんてぃあ」を命名し、進水式を開催した。船主は川重も加盟する技術研究組合の「CO2フリー水素サプライチェーン推進機構」(HySTRA)。船を支えるロープが切られると、船体がゆっくりと海に向かって滑りだし、同時に進水を祝う紙テープや風船などが舞い上がった。同工場での商船の進水式は2018年5月以来1年7カ月ぶりだ。

 式典にはHySTRAの原田英一理事長(川重執行役員)が出席したほか、経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の関係者、関経連の松本正義会長、井戸敏三兵庫県知事、久元喜造神戸市長らや見学者など、約4000人が集まった。今後は工場内の岸壁で水素タンクの取り付け工事などを実施し、2020年秋ごろに完成する予定だ。

 同船は20年度内に実施する水素エネルギーのサプライチェーン(供給網)構築に向けた実証試験に投入する。今回の運搬船の建造費用も含め、実証試験全体の費用は5億豪ドル(約370億円)になる。一連の実証試験はNEDOの支援で実施。オーストラリアで褐炭(かったん)と呼ばれる不純物を多く含む石炭かなどから製造する水素を、神戸空港島(神戸市中央区)に建設中の水素輸入基地に向けて運搬する予定だ。

 全長は116メートル、全幅19メートル。ディーゼル発電機を搭載して電気でスクリューを回す電気推進船。航行速力13ノット(時速約24キロメートル)で、航続距離は1万1300海里(約2万1000キロメートル)を予定する。定員25人。燃料運搬船としては小型だが、川重は液化天然ガス(LNG)運搬船と同様の規模である、4万立方メートルのタンクを4基搭載した大型運搬船の建造に向けた研究開発にも着手している。

 プロジェクト全体を統括する川重の西村元彦・水素チェーン開発センター長は、今後の水素をめぐる事業について「モデル事業では神戸は世界でも1歩も2歩もリードしている」と指摘。「商用化する際の水素の基地は、電力会社やガス会社など事業を展開するエネルギー会社が選ぶ」ことになるが、実際に水素の輸入拠点が稼働を始めることで、「神戸が水素供給網のハブ(重要拠点)になる、礎(いしずえ)ができる」と話していた。

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