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(1)より続く 2015年に神戸市の久元喜造市長が「基本構想」を発表した際に強調したのは、「交通の要衝として利便性を高める」のと同時に「回遊性の向上」「美しい街」を目指すということだった。鉄道などの公共交通機関で三宮駅に到着した人が、都心地域を移動するのにコベリンの赤い自転車が人気を集めている。街歩きを楽しむ人にとってはパークレットやベンチも便利に使われている。
三宮からやや外れるが、JR元町駅東口の南側広場もデザイン性に富んだベンチが配置された。メリケンパーク、南京町、トアロードと観光の玄関口になり得る象徴的な場所の整備で、歩行者の利便性は高まりそうだ。こうした「街かど」の美装化や回遊性向上に向けた取り組みは、神戸市が16年12月に発表した「アクションプラン」によると、18~20年で一巡する見通しだ。
大規模な施設に動きが出てくるのは、その後になる予定だ。現在、建設中の阪急神戸ビル東館(写真)は2021年に完成する。三宮交差点をほぼ歩行者専用の広場にする「三宮クロススクエア」(イメージ図=2015年の神戸市発表資料より)は2020年度までに社会実験や設計を終える計画で、21年からは車線減少などによる交通量の抑制が始まりそうだ。
JR三ノ宮駅の南東で2期に分けて建設を計画しているバスターミナルも、第1期分は2020年ごろまでに設計を終える見通しだ。さらに中央区役所や神戸市役所2号館の新築に向けても基本計画が決まるなど、動き始めている。市役所2号館の北側にある神戸花時計は、今秋にも別の場所に移設するとみられる。
一方で、3月末で閉館したJR三ノ宮駅ビルは、新たに建てるビルの計画が現時点で明らかになっていない。JR西日本が4月27日に発表した中期経営計画では大阪、広島と並んで三ノ宮駅の駅ビル開発を、駅を起点とした街づくりの「3大プロジェクト」に位置付けた。ただ駅ビルの開業は中期経営計画の最終年度である2023年3月期以降としており、具体的なスケジュールは示されなかった。
1997年に現在の京都駅ビルが開業し、京都の玄関口は求心力を高めたとの指摘は多い。大阪では2013年にグランフロント大阪が開業。6月1日には大阪神ビルディングなどを建て替えた「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」のオープンも控える。西に目を転じれば、姫路駅の駅前広場も整備された。一方、阪神淡路大震災の影響もあって神戸はようやく計画が始まったばかりと出遅れている。
ただ、遅れを取った結果として、先行する他都市とは異なるコンセプトで都心再開発を進めることができているとも言える。また現時点では、まちづくり協議会の開催や行政による
意見募集(パブリックコメント)などを通じて、行政と住民がやりとりする場所も足元で増えている。商工会議所など地元財界などからも三宮再開発について発言が増えるかもしれない。旧鉄道用地の再開発などと異なり時間はかかるが、よく練られた計画に基づく都市への期待は高まっている。=おわり
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