川重子会社の不正検査、虚偽のデータで認証取得も 特別委の調査報告書

【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)は24日、子会社の川重冷熱工業による吸収式冷凍機の検査データに不正があった問題について、外部の弁護士などで構成する特別調査委員会の調査報告書を受け取ったと発表した。公表した報告書によると、すでに判明していた顧客向けのデータ不正に加え、虚偽のデータを使用して認証を取得していた「類似事案」も新たに5件が判明した。

 新たに判明した類似事案は東京都による「低NOx・低CO2小規模燃焼機器」など4つの認証を申請する際に、虚偽のデータを申請書に記載した。これを受けて都の認証と、東京ガス(9531)・大阪ガス(9532)・東邦ガス(9533)による「グリーン機種」選定が取り消し。公共建築協会による「建築材料・設備機材等の品質性能評価」で評価書の効力が一時停止になった。

 このほか環境省が実施した「LD-Tech」認証では2015年に提出したデータが虚偽だった。ただ現在のカタログの表示性能に問題がないとの誓約書を環境省に提出したことで、同認証は取り消されたなかった。一方、開発段階の試運転では必要な蒸気を取り出す「抽気」の性能で検査データを改ざんしたが、量産品の出荷前試運転は改ざんの必要がなく基準値に合格した事例があったという。

 川重が22年6月に川重冷熱に不正があったのを発表して以降、特別調査委員会を設置。関係者への聞き取りなど調査を進めてきた。不正があった原因として、役員のコンプライアンス(法令順守)意識の欠如や、品質管理に関する統制欠如・社内ルール不備などがあったと指摘。再発防止策として出荷前検査のデジタル化・自動化を川重のグループ全体で進める方針を示した。

 一連の調査は終了するが、コンプライアンスの重視や風通しのよい職場環境の醸成などの取り組みを強化する。これまでも客先や関係省庁などには謝罪、事実関係の説明。新設した「お客様対応窓口」によるメールや電話での問い合わせに対応してきた。同窓口での対応は継続する。一方で、この件に関して「業績への影響はない」としている。

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