久元神戸市長「戦争と大災害はSDGsを阻害」 復興に大きなエネルギー消費

20230301パネルディスカッション

【神戸経済ニュース】政令市20市の市長で構成する指定都市市長会で会長を務める久元喜造神戸市長は、1日に東京都内で開いた「脱炭素都市国際フォーラム2023」(主催・環境省、米大統領特使室=気候変動問題担当)のパネル討論にパネリストとして出席し、「SDGs(国連の持続的な開発目標)の非常に大きな阻害要因は戦争と大災害」と指摘した。そのうえで「災害で破壊された街を復興することのエネルギーを考えれば、災害を防ぐためのインフラ整備、SDGsの観点を取り入れた災害に強い街づくりが重要だ」と主張した。あわせて「ウクライナの戦争が早く終結することを望む」とも語った。

 久元氏は1995年に発生した「阪神淡路大震災から神戸が復興するのには、膨大なエネルギーが使われた」と指摘。この教訓も取り入れた災害対策の例として、南海トラフ地震での津波対策として進めている防潮堤の整備を挙げた。神戸市は必要に応じて遠隔操作で閉められる、防潮堤の鉄扉を導入している。「こうした投資はSDGsの観点からも、人命を重視する観点からも必要だ」と説明した。

 2日に予定している7カ国(G7)に属する国の都市の市長による会議「第3回Urban(アーバン)7市長サミット」で予定している共同宣言にも言及。「案に盛り込んでいる重要な項目の1つは、権限や財源を地方自治体に委譲していただきたいということ」と説明した。札幌市と那覇市では気候がまったく異なるように、SDGsの取り組みの前提になる自然条件、社会条件は各地で異なる。エネルギー消費の削減には「それぞれの都市で市民と対話しながら、最適な方法を選ぶ必要がある」と語った。

 共同宣言については、久元氏がプレゼンテーションで「地方自治体は平和と民主主義のとりで」「SDGsや環境問題に寄与する持続的な都市開発」「防災・減災での都市の役割」「多様なレベルの政府間・都市間外交での新たな担い手としてのU7」の4本柱で構成する方針であることなどを説明した。

 パネル討論では久元氏のほか、パネリストとして環境省の小野洋・地球環境審議官、独マンハイム市のペーター・クルツ市長、米コロラド州フォートコリンズ市のジェニ・アーント市長、持続可能性をめざす自治体協議会(ICLEI=イクレイ)のエマニ・クマール副事務局長が参加。司会はイクレイで政策・普及活動を取りまとめる担当者のユヌス・アリカン氏が務めた。(写真は左からアリカン氏、小野氏、クルツ氏、久元氏、アーント氏、スクリーンにテレビ会議システムを通じて参加したクマール氏=地球環境戦略研究機関が配信した動画より)

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