住友ゴムの中期計画、27年の事業利益率7%目標 米事業25年までに収益改善

20230214住友ゴム中期計画

【神戸経済ニュース】タイヤ大手の住友ゴム工業(5110)は14日、最終年度の2027年12月期に事業利益率7%、自己資本利益率(ROE)10%などを目標に掲げた中期経営計画を発表した。25年12月期まで特に収益性改善に注力し、22年12月期に2.0%まで低下した事業利益率を引き上げる。特に足元で収益が悪化した、北米地域の収益改善には根本的に取り組み、同社全体の採算改善につなげたい考えだ。

 米グッドイヤーとの提携を解消し、独自で米欧の事業展開を始めた16年以降、タイヤ事業の利益は大幅に減少した。これには北米の採算悪化が大きな要因になったと分析する。ただ北米ではファルケンブランドで販売する「ワイルドピーク」シリーズが人気を集めるなど、販売は順調に伸ばしてきた。生産体制を改善することで現地生産の比率を高め、関税や海上運賃に採算性が左右されやすい構造を改める。26年以降に、北米で新たな生産拠点を開設する検討も始めた。

 北米以外で十分に利益が出ていない10事業・商材は、改善や補強といった形で利益が出せる事業になるよう「構造改革」するという。さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した高効率な運営ができるよう、組織体制も再構築。調達、商品企画、技術開発、生産、物流、販売、アフターサービスをトータルで統括できるタイヤ事業本部を構想中だ。成長事業の基盤作りも進め、26年以降に成長を加速する。

20230214山本住友ゴム社長

 オールシーズンタイヤなどで採用している、路面状況によってタイヤの接地面の性質が最適化する技術「アクティブトレッド」や、環境性能の向上などを盛り込んだ、次世代の電気自動車用(EV)タイヤ発売を27年に発売。転がり抵抗を30%低減、さらに20%の軽量化するのが目標だ。加えてタイヤ自体をセンサーとして多様な情報を取得する次世代技術「センシングコア」も、機能拡張とサービス拡大を急ぎ、将来の収益拡大の基盤にする。

 事業利益率とROEの目標に加え、27年12月期には負債資本倍率(DEレシオ)0.6倍、投下資本利益率(ROIC)6%との目標も設けた。東京都内で記者会見した山本悟社長は「新中期計画の各施策に全社でスピードを上げて取り組み、目標の確実の達成を図る」と強調した。23年の収益回復が順調に行けば、中期計画の展開にも弾みが付きそうだ。(写真は記者会見した山本社長=住友ゴム提供)

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