【神戸経済ニュース】20日に東証グロース市場に新規上場したmonoAI technology（モノアイテクノロジー、5240）の本城嘉太郎社長（１枚目の写真）が記者会見し、経営方針などについて説明した。今後については「2024年に海外版を発売する」「『ＡＲグラス』など最先端のデバイス（機器）にも対応していく」「最近リリースした医療業界特化型のような業界特化型のメタバースにも需要がありそう」などと展望を示した。記者会見での主なやり取りは以下の通り。

　ーー1280円の初値を付け、一時1458円と公開価格の２倍を超えたが、感想は。

　「非常に高く評価していただき身が引き締まる思いだ。期待を裏切らないように、上場企業としてしっかりとコンプライアンス（法令順守）や開示などをこなしながら、業績を引き続き力強く上げていきたいと思った」

　ーー今後競争は激化しそうだが、他社との違いは何か。

　「ビジネス向けのイベントを多く手がけているというところが他社と違うところだろう。その中でもイベントごとのパッケージ化を進めている。株主総会、社内懇親会、採用説明会などをどんどんパッケージ化して、すでに確保された予算の中で、リアルで（実際に集まって）やると『地方の方は出席しにくい』という点から、リアルの会場と同じような形でバーチャルで開催してはどうかという法人向けの営業を広げている」

　「メタバースを柔軟に、目的ごとに増やせるという特徴があるので『このプラットフォームを使ってください』というよりも、『一番使いやすいプラットホームを一緒に考えましょう』という提案ができる。目的特化型のメタバースを増やしていけるというところが一番の差別化ではないか」

　「加えて基本性能が高いというところ。たとえば１つの教室の人数は1000人でもでもいけますよ、という基礎的な技術も他社との違いかと考えている」

　ーー売上高が特定の販売先に集中しているのは、どう解消するのか。

　「既存の取引先からの継続受注は今後もある予定だが、新しいお客様からの問い合わせも毎月どんどん増えている状態だ。パイプライン（新商品の候補）としてまだ公表できないが、既存ではないパイプラインも話が入ってきており、将来的には既存の取引先の売り上げ比率は低下していく形になると考えている」

　ーー今期は３期ぶりに黒字を計上するが、黒字は継続的に確保できる見通しか。


　「すでに海外で展開したいという声をお客様からいただいており、北米のニーズや、アジアでのニーズなど、客先によってバラバラというのが現状だ。（進出する地域の順番は）そのときの政治状況だったり、もろもろ状況判断して決めていくが、将来的には全世界に出したいと考えている。現時点では日系企業からの引き合いが多いが、海外が現地のプラットフォームとして自立していければ現地の企業と組んで展開する可能性もあるのではないかと思っている」

　ーー神戸に本社があるメリットは。

　「東京本社で上場というのは結構あるが、珍しい地方都市から上場というとことで、自治体からバックアップとか、支援は手厚くしていただいたと思う。医療業界特化型のメタバースをリリースしたが、医療系のカンファレンス（会議）や研究開発に積極的なのも神戸の特徴で、そのあたりも今後連携ができたらと思う」

　「新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、地元・地方に帰った東京の人材が結構たくさんいた。そのタイミングで『完全リモートワークで出社の必要ありません』という条件で求人したのに応募して、弊社を選んだ社員も結構いる」

　「（拠点がある）高知や神戸だけでなく、福岡だったり山口だったり、各地に社員がいるという状況で、神戸に本社を置いて出社にこだわらなくしたのは採用面でとてもプラスになったなと思っている。弊社がメタバースを手掛けているということもあり、場所にとらわれない働き方ってのは今後も追求し、地方人材を活用していきたい」

　ーー株主還元の方針は。

　「現時点では配当よりも株価そのものを挙げて還元したほうがよいと考えている。配当は今のところは考えていない」

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