メディカロイド、手術の器具メンテナンスも事業化 海外はシンガポールから

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【神戸経済ニュース】シスメックス(6869)と川崎重工業(7012)が折半出資する手術支援ロボットのメディカロイド(神戸市中央区)は16日に事業説明会を開催し、浅野薫社長(シスメックス専務)がロボットに取り付ける手術用の器具メンテナンスを事業化する方針を明らかにした。患者の体内に入れて、患部を切ったり、縫ったりする器具は使用するたびに洗浄や滅菌といったメンテナンスが必要だが、これを同社が請け負う。病院側のメンテナンスの手間を省くことで、同社の手術支援ロボット「ヒノトリ」(写真=資料)を、より導入しやすくする。

 現在はヒノトリを導入するのと同時に、こうした器具類をメンテナンスする体制も整える必要がある。だが浅野社長は、メディカロイドが器具の管理や保管を請け負うことで「ベストな器具をベストな状態で必要な時に提供できる、いわゆるジャスト・イン・タイム」と強調した。加えてヒノトリで可能な手術も認可の幅が広がっており、ロボットに取り付ける器具の種類も増えているため、病院内で器具の在庫を抱えるよりも、より適切な器具を取り寄せられるというメリットもある。事業の開始に向けて「デバイス(装置)センターを準備している」という。

 どの器具を何の手術で、どれぐらいの時間をかけて使ったかは、ロボットが記録してメディカロイドと共有する仕組みも紹介。手術のどの部分に時間がかかったかを事後的に検証できるソフトウエアも現在、開発中という。このほか手術データの共有による医師の知見向上や、トレーニングシミュレーター、SDGs(国連の持続的な開発目標)に対応した素材の臓器も開発・提供するなど、教育にも力を入れて、ヒノトリの普及をめざす。

 23年度から予定している海外展開に向けては、米国、ドイツ、シンガポールに拠点を開設。まずシンガポールからヒノトリの市場投入を始める。シンガポールの規制当局に、日本の薬事承認を得られていれば簡略審査が適用されることを確認した。米国でも米FDAの認可に向けて、薬事申請に必要なデータ取得の準備を始めた。欧州ではロボット手術トレーニング施設の記念式典で、メディカロイドの橋本康彦会長(川重社長)が講演するなど、関係構築を進めている。

 9月末時点で国内の28施設がヒノトリを導入。15日までに840症例の手術を実施した。かねて2030年度の売上高が1000億円を目標にしており、今回も目標を変更しなかった。ただ、30年には手術支援ロボットの市場規模が2兆円超に拡大するとの予想がある。市場シェアは「10%ぐらい取りたい」(浅野社長)というが、これが実現すれば目標の数値を上回る見通しだ。競合する新ロボットが日本でも認可を受ける中で、「日本製のよさ」を前面に押し出して販売拡大につなげたい考えだ。

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