IPO monoAI(1)20日に東証グロース上場 「メタバース」開設・運営

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【神戸経済ニュース】仮想空間「メタバース」の開設・運営サービスを手掛けるmonoAI technology(モノアイテクノロジー=monoAI、コード5240)が20日に東証グロースに新規上場する。公募・売り出し(公開)価格は仮条件(630〜660円)の上限である660円に決まった。オーバーアロットメントによる追加売り出し株数も当初予定した上限の21万8400株に決まり、新規株式公開(IPO)に向けた投資家の需要も積み上がったようだ。メタバースの基盤である自社の「XR CLOUD(XRクラウド)」上に、顧客の用途に応じた、さまざまな機能を持つ仮想空間を設定。同時に接続できる人数が多いのが強みだ。

 2013年に本城嘉太郎社長が、オンラインゲームの受託開発やミドルウエアを開発する「モノビット」を設立。これが現在のmonoAI technologyだ。当初は本社を東京都新宿区に置いた。16年3月に地方人材の開拓を目的に、高知市にゲームを受託制作する全額出資子会社のAVOCADOを開設。翌年にはモノビットの本社を東京から、本城社長の出身地である神戸市に移し、19年に現在の会社名になった。もとはオンラインゲームを開発していたことから、同時に多くの利用者が接続しても、安定して画像や音声を配信できるノウハウを確立。これがメタバースの技術にも役立っているという。

 目論見書ではメタバースの国内市場規模が着実に拡大するとの、矢野経済研究所「メタバースの国内市場動向調査」の調査結果を引用した。2022年度の市場規模は1825億円だが、これが3年後の25年度には7237億円に、26年度には1兆円規模に拡大するとの予想だ。これにはmonoAIが提供するメタバースの基盤を使ったサービスだけでなく、利用のために必要な機器類の購入額も含まれるが、メタバースの技術自体が黎明(れいめい)期から普及期に入りつつあるのが見てとれる。本城社長も「今後の売上高は年30%成長を目標値としている」といい、monoAIも市場の拡大に乗って業容拡大をねらう。

20221215monoAI業績

 2021年12月期までは2期連続で経常赤字、3期連続で最終赤字を計上したが、本城社長は「内部の体制も整い、年間の黒字を見通せる状況になったため、上場のタイミングであると考えた」とも。20年にXRクラウドも完成させ、大きな投資が一巡したという。一方で、現時点では大口顧客の獲得に収益が左右されやすい構造だ。21年12月期は阪急阪神グループと、パルス(東京都渋谷区)向けに売上高が全体の約56%を占めた。両者向けの売上高は22年4〜9月期で約63%になる。顧客層や顧客数の拡大は、monoAIの安定的な成長に向けても欠かせない。

 足元の国内株式市場でメタバース関連銘柄は、総じてさえない値動きになっている。YEデジタル(2354)や、ブイキューブ(3861)などは下値を探る展開だ。米国の旧フェイスブックがメタバースに注力する姿勢を打ち出して「メタ・プラットフォームズ」に社名変更したあと、業績が悪化。1万人超の人員削減を迫られたことで市場心理が悪化したままになっている。このためIPOが相次ぐ中、初値段階でmonoAI technologyが人気化するかは判断が難しい。ただ市場拡大とともに収益拡大が確認できれば、改めて成長性を意識した買いも入れやすくなるだろう。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)


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