神戸鋼の4〜6月期、純利益11%増 出荷数量減も在庫評価益が拡大
- 2022/08/09
- 20:31

【神戸経済ニュース】鉄鋼大手の神戸製鋼所(5406)が9日発表した2022年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比11%減の210億円だった。半導体不足や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による影響で、自動車生産台数が減少したことなどから、鉄鋼を中心に販売数量が減少。建設機械の販売台数も減ったが、鋼材やアルミ地金などの在庫評価益が拡大。68億円計上した為替差益や、107億円を計上した建設機械事業での北米エンジン認証に関する補償金収入も寄与した。
売上高は17%増の5428億円、営業利益は67%減の80億円になった。鉄鋼を中心とした値上げに加え、電力事業では一般炭価格の大幅上昇を受けた販売電力価格が上昇したことなどが寄与した。だが販売数量の減少に加え、資源価格の上昇を受けた原燃料高で、アルミ板と建設機械を中心に採算性が悪化。固定費を中心としたコストの増加もあって営業利益は大幅に減少した。自動車向け需要の減少で、粗鋼生産量は7万トン減の159万トン、販売数量は10万トン減の126万トンだった。
23年3月期の連結業績予想では、純利益が前期比微減の600億円になる見通しを据え置いた。鉄・アルミなどの素材系事業や、建設機械で販売数量の見通しを引き下げた。自動車生産の本格回復は従来10月以降を見込んでいたが、今回23年1月以降に想定を変えた。加えて鉄鋼以外の事業分野(セグメント)は、原燃料高の転嫁の遅れを想定。こうした状況を在庫評価益の拡大などで補う。在庫評価益を織り込まない営業利益は前期比14%減の750億円の見通しと、従来予想の800億円から下方修正した。
一方で売上高は21%増の2兆5100億円を見込む。従来予想の2兆3700万円から上方修正した。一段の円安進行や、原燃料高の影響が拡大するとみられる中、これらを販売価格に転嫁して増収になる。引き続き電力の販売価格は高い水準で推移し、電力セグメントが大幅な増収になる見込み。価格転嫁は進むが先行き不透明な状況に変わりはなく、「販売価格改善をはじめとする収益改善策を着実に進めていく」(勝川四志彦取締役)。
「未定」としていた中間配当は前年同期比5円増の15円とした。期末配当は引き続き「未定」とした。
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