パンの老舗ケルン新三宮店、SDGs食品のショーケースに 来店頻度の高さ着目
- 2022/08/04
- 13:01
【神戸経済ニュース】1946年創業の老舗パン店「ケルン」(神戸市東灘区)が6日に神戸市中央区の三宮・生田新道沿いでオープンする新「三宮店」では、自社生産のパンに加えて、全国各地で生産するSDGs(国連の持続的な開発目標)に寄与する食品も取り扱う(1枚目の写真=準備中の店内)。おいしいパンを提供することにとどまらず、同社が続けてきた、地域社会に根づいて持続可能性の高い店舗をめざす一環だ。壷井豪社長は「パン屋の店舗は来店頻度が高いので、食べることで課題解決につながる商品を知ってもらうきっかけを作れると考えた」といい、自らショーケース(陳列棚)の役割を買って出る。
パンに並べて販売するのはたとえば、サイズが小さいため廃棄予定になった鯛まるごと1尾を使った、やますえ(福岡県糸島市)の「真鯛めしの素」だ。このほか害獣とされている鹿の捕獲・処理・販売を手掛けるブランド「やまとある」ブランドで販売するRE-SOCIAL(京都府相楽郡笠置町)の「笠置鹿と丹波高原豚の特製ソーセージ」も販売する。独自の乾燥プロセスで、みそを粉末にすることから長期間保全できる早川しょうゆみそ(宮崎県都城市)の「早川のみそパウダー umami・so」も並ぶ。同商品は体積を圧縮するため、総輸送量・距離(フードマイレージ)の削減にも寄与する。
ケルンとしても、ビールの醸造工程で出てくる「麦芽カス」を使ったパンの試作を進めている。現在は廃棄したり、肥料に使ったりしている麦芽カスを、粉砕してパン生地に配合することで健康に寄与する食物繊維が豊富なパンになる。神戸市兵庫区の複合施設「ネイチャースタジオ」内のクラフトビール醸造所「open air(オープンエア)」で排出した麦芽カスを使った「アップサイクルブレッド」を今年秋にも店頭に登場させたい考えだ。現在は醸造所との間で効率的に受け渡しする方法や、受け取った麦芽カスを手際よく処理する方法などを調整中だ。発売すれば、「新しい三宮店の看板商品になりそう」と壷井社長は意気込む。
ケルンの三宮店は7月までJR三ノ宮駅の南東方面にある複合ビル「サンパル」に入居していたが、バスターミナルビルを建設する再開発事業で閉店。6日に移転・開業するのが新しい三宮店だ。従来の常連客にも足を運んでもらえるよう、目印に同社の人気商品「チョコッペ」をかたどった大きな看板を製作した(2枚目の写真)。神戸で受け継ぐ老舗の味を守りながら、主力店舗の移転を機に神戸などの大都市と各地の地域社会をつなぐ新たな役割に向けても動き出す。新しいケルン三宮店は阪急神戸三宮駅の東口から徒歩で1分程度。営業時間は午前9時〜午後10時を予定する。
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