若者が花に親しむ機会は作れるのか? 神戸阪急のイベント、実は女子学生が企画
- 2022/03/25
- 22:00
【神戸経済ニュース】神戸阪急(神戸市中央区)では29日まで全館で開催する「花」をテーマにしたキャンペーン「春祭」の一環で、「ポール&ジョー」「RMK」「ジルスチュアート」のいずれかで化粧品2200円以上を購入すれば「花みくじ」が1回引けるイベントを開催中だ。花みくじに登場する花の実物を展示する「HANA☆花展」、訪れた人がメッセージを書き込める「フラワーメッセージカード」も同時に開催。花みくじには"当たり"もあり、当たればチューリップの鉢植えがプレゼントされる。このイベントを考案したのは、実は武庫川女子大(西宮市)経営学部の学生たちだ。
学生らが取り組んだのは、実際の社会に存在する課題の解決策を考える授業「実践学習」だ。授業に協力した日比谷花壇(東京都港区)が提示した課題「若者の花ばなれ」に対して、学生が提案した解決策の1つが「百貨店で花に親しむイベントを開催する」だった。花束は学生にとって、高く感じる買い物だ。放っておくとすぐに枯れるなど、取り扱いの難しさもある。こうしたマイナスのイメージが先行するのは、そもそも花に親しんでいないため、という見立てだ。従って、まず花に親しむことが、長い目で見て花を買うきっかけになると考えた。
学生のアイデアを受けて、日比谷花壇が出店先の1つである神戸阪急にもちかけた。学生は当初バレンタインでのイベント開催を提案したが、神戸阪急が「ちょうど花をテーマにしたキャンペーンがある」と応じて、今回の「春祭」でのイベント出店が決まった。出店する際のポイントは「若者がターゲットになること」「花とは異なる目的で神戸阪急を訪れた人が、偶然に花と出会うきっかけになること」の2点だ。そこで化粧品のフロアに出店することや、花みくじの対象を若者が好む3ブランドに絞ることを決めた。
「花みくじ」は12種類の花にちなんだ、前向きで温かい気持ちになれるメッセージだ。これをカプセル玩具の機械を使って取り出すようにしたのは学生のアイデアで、メッセージの文章も学生たちが考えた。いずれも若い世代との親和性を重視した。花の背景に鏡を置いたのは、SNSのインスタグラム向けに写真を撮りやすいようにするため。花みくじ引くと出てくる"自分の花"が、どんな花かは、「HANA☆花展」の生花ですぐに確認できる。花びらの形をしたフラワーメッセージカードには、自由なメッセージを書いてもらう。これらは花を身近に感じてもらうようにする工夫だ。
経営学部2年の朝山綾香さん(20、写真)は昨年春に今回の講座が始まってから、普段でも「なぜ若い世代に花が売れないのか考えるようになっていた」と話す。すっきりとした答えが出ないなかで、課題の解決策であるイベントの企画も考えなくてはならず大変だったが、充実していたという。就職活動で企業の面接を受けるとき「学生時代に力を入れたものに、これを答えるかもしれない」とも。一方で、学生がデザインを提案したイベントの装飾は、神戸阪急の装飾部門によって「想像の何倍も素晴らしいものになった」という。社会と関わることで、プロの力を感じることもできたようだ。
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