川重、2050年の水素事業2兆円規模に 「仲間づくり」で市場拡大・非製造で収益も
- 2021/12/09
- 20:06
【神戸経済ニュース】川崎重工業(7012)は9日に開いた事業説明会で、2050年に同社の水素関連事業は2兆円規模に拡大する見通しを示した。同社が狙う市場は50年現在で12兆円とみられており、このうち市場シェアの15%以上を獲得したい考えだ。その際の売上高営業利益率は30%を想定。ライセンスの供与や水素を活用した二酸化炭素(CO2)排出削減コンサルなど、物品や機材の販売以外で収益を上げることで利益率が高まる見込みだ。
25年時点で川重の事業規模は1000億円を上回る程度とみており、25年で20倍に成長させる。製品やサービスの供給が自社だけではまかなえず、30年ごろからは、基幹部品を他社に供給したり、ライセンスを供与したりといった「仲間づくり」で市場を拡大させたい考えだ。川重の橋本康彦社長は、徐々にライセンス供与の比率が上昇し、「モノ売りからコト売り(へのシフト)を進めることで利益率も大幅に高める」と説明した。
国内外の大手メーカーなどで構成する「水素協議会」の想定によると、50年の水素関連市場は水素販売と水素関連機器の市場で合計288兆円とみられている。このうち川重が事業を展開するのは、基地や運搬船など供給網関連、水素液化機などの関連機器、さらに発電関連の3分野。この3分野の市場が12兆円になるとみる。このうちの2兆円を川重の売上高で占めたい考えだ。同社は6月の事業説明会で、30年度の事業規模が3000億円程度、40年に5000億円程度との見通しを示していた。
25年時点で川重の事業規模は1000億円を上回る程度とみており、25年で20倍に成長させる。製品やサービスの供給が自社だけではまかなえず、30年ごろからは、基幹部品を他社に供給したり、ライセンスを供与したりといった「仲間づくり」で市場を拡大させたい考えだ。川重の橋本康彦社長は、徐々にライセンス供与の比率が上昇し、「モノ売りからコト売り(へのシフト)を進めることで利益率も大幅に高める」と説明した。
続けて橋本社長は「水素社会は川崎重工だけでは成り立たず、多くの同業他社もこの分野に参加してマーケットが拡大し、水素社会が実現されていくものと考えている」と指摘。「多くの企業に水素技術の門戸を開き、他社と協業しながら、また他社の力もいただきながら、需要拡大に努めていきたい」と話していた。30年には他社に先んじてCO2排出の実質ゼロを達成し、CO2削減コンサルや、CO2排出ゼロのプラント建設などエンジニアリングでも収益を上げる。
ライセンス供与については水素戦略本部長の原田英一常務執行役員が「どちらかというと日本は技術開発先行で、規格であるとか世界標準を取ることが後回しになり、結果として欧米企業に市場を独占されてライセンス料を払ってきたという反省」があると説明。市場拡大に向けて物量を多く供給するためにも「ライセンスを意識した技術開発を進め、その(ライセンス供与の)ためのいろいろなパッケージを検討している」説明した。
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