(解説)上場会社の今期予想、下方修正が相次ぐ 国内外の景気に減速感か
- 2018/11/25
- 21:35
神戸市内の上場会社による4〜9月期決算が出そろい、先行き見通しに慎重姿勢が広がっていることが明らかになった。3月期決算企業の35社のうち、9月期末を通過した10月1日以降に19年3月期の業績予想を下方修正したのは10社になった。半面、同時期に上方修正したのはワールドとシャルレの2社にとどまった。7月の豪雨や9月の台風の影響による国内消費の一時的な減少だけでなく、国内外の景気に減速感が出てきなのが背景にあるようだ。同じ時期に1〜9月期決算を発表した12月期の会社も、今期予想の下方修正が相次いだ。
神戸製鋼所は19年3月期の連結純利益が連結純利益が前期比45%減の350億円になる見通しだ。従来予想の450億円から10月30日に下方修正した。高砂製作所(高砂市)で7月に起きたクレーン倒壊事故で生産が中断したことから、販売減が発生するという。その一方で「機械」分野(セグメント)の利益予想を引き下げた要因は、競争激化による圧縮機などの採算悪化という。株式市場の一部などでは、クレーン事故など大きな要因で目立ちにくくなった、海外景気の減速の芽を指摘する声が出ている。
このほか主要企業では、輸出が売上高の8割を占めるシスメックスも今期予想を下方修正。国内や欧州での検査機器の販売が鈍化したのが収益の重荷になっている。川崎重工業は下方修正の主因になった海外での鉄道車両以外にも、「エネルギー・環境プラント」「精密機械・ロボット」と設備投資に関する分野の利益予想を引き下げている。一方で、国内での既存店売上高が伸び悩んでいるとして、うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールも収益見通しを引き下げた。12月期決算の会社でも住友ゴム工業とアシックスが今期予想を下方修正した。
これだけ下方修正が相次ぐのは10月に入るまで想定できなかったといえる。特に外国為替市場では今年度、円相場が1ドル=112円台や113円台の推移することも多く、これが輸出企業などの海外収益を押し上げるとの見方が多かった。しかし輸出関連企業も軒並み業績予想を下方修正した。むしろ輸入が多い原材料費の高騰という形で、企業収益の逆風になるケースも目立っているのが、4〜9月期の決算発表などで明らかになった。
これまで景気は改善しているという見方が多かったが、7〜9月期の国内総生産はマイナス成長だった。経済協力開発機構(OECD)が21日に発表した世界経済見通しでも18年の成長率見通しを引き下げ、世界景気には減速感が強まってきた。兵庫県の鉱工業生産指数も3月をピークにやや右肩下がりの動き。指数で見ても業績で見ても、今後の景気には慎重な見方が増えそうだ。足元の景気を見極めるうえでは12月14日に発表する日銀の企業短期経済観測調査(短観、12月調査)などに関心が集まりそうだ。
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