川重の4〜9月期、最終赤字35億円 車両の採算悪化、航空エンジンの負担増で

20181030川重決算グラフ

 川崎重工業が30日に発表した2019年4〜9月期の連結決算は、最終損益が35億円の赤字(前年同期は108億円の黒字)になった。鉄道の車両を製造する車両事業で、資材費が想定以上に膨らんだことなどが響いた。同社が参画している飛行機用エンジンの製造で生じた負担増も重荷になった。円相場の下落による、利益の押し上げ効果では吸収できなかった。

 売上高は3%減の6881億円、営業利益は48%減の84億円だった。車両事業では、米ロングアイランド鉄道向けで資材費の増加に加え、コスト削減が想定通りに進まなかったことなどで採算が悪化した。米ワシントン首都圏交通局向けでは、配線の施工不良がみつかり、納入済みの車両にも改修が必要という。国内でも想定通りにコスト削減が進まなかった。車両事業の採算悪化は同社全体の営業利益を対前年で85億円押し下げた。

 車両事業の採算悪化に加え、航空機エンジンでは部品を製造しているロールス・ロイス社製ボーイング787用「Trent1000」に運航上の問題が起きたことで、負担金が発生。97億円を営業外費用に計上した。新たな費用の発生を受けて、同社は2018年3月期の連結業績予想を19日に下方修正。あわせて社長をトップに据えた「車両事業再建委員会」を設置したと発表していた。

20181030川重セグメント別グラフ

 2019年3月期は連結純利益が前期比7%増の310億円になる見通し。建設機械向け油圧機器や各種ロボットが好調のうえ、船舶海洋分野でも採算が改善。精密機械・ロボット円安の恩恵で航空宇宙システムやモーターサイクル&エンジンなどの海外収益が押し上げられることもあり、増益を確保する。売上高は4%増の1兆6450円、営業利益は18%増の660億円を見込む。

 中間配当は35円を実施。年70円配にする配当計画は据え置いた。

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