(解説)神戸市は“やりすぎ”に気をつけて 「都会的でおしゃれ」どう具体化・将来ビジョン

 効率を追求すると駅前はショッピングセンターとオフィスビルばかりになってしまう。大阪駅前は実際にそうなった。でも本当に効率的なのだろうか——。こう思った建築家の安藤忠雄さんは1990年代にかけて、歴史的にも文化的にも大阪の中心として大阪市中央公会堂(中之島公会堂=大阪市北区)がふさわしいと着目。公会堂を中心に公園を整備し都市の中心に「ゆとり」を設ける計画を提案した。

 神戸市が3月23日に発表した「神戸の都心の『未来の姿』(将来ビジョン)」について意見を募集している。締め切りは17日だ。神戸に暮らす市民が思い描く街を具体化するチャンスだろう。神戸市が提示したプランは、都会的だが東京や大阪とも違う、おしゃれで美しい都市を狙ったようだ。23日の記者会見で久元喜造神戸市長は「世界一美しい書店」の誘致を例に挙げ、「何か面白いことがある街にしたい」と意欲的だ。

 一方で「出掛けやすい街」にするための施設も必須だ。今後、都市計画の核になるのは阪急電鉄やJR西日本が計画している三宮駅周辺の再開発だ。今回は具体案を示していないが、東西に走るJR線と阪急線がもともと南北の短い市街地をさらに南北に分断している面がある。新設を計画するというバスターミナルの場所を工夫するなどで街全体の回遊性を高めることで、バリアフリーにも対応しやすくなるだろう。

 ただ気になるのは、街で「何か面白いこと」は誰が作るのかという点だ。わざわざ電車賃を払って三宮に行く理由は往々にして、新しい服や新しい音楽、新しい遊びといった情報に接するためだ。そうした情報を都市計画の事業主体である行政が作ることは残念ながら不可能だろう。すみからすみまで都市計画を行き渡らせるのは一見すると効率的に美しい街づくりができそうだが、情報が発生する余地に欠ける。無味乾燥な都市になりかねない。

 建築物の高さ制限や一部の地域での用途制限などは防災などの観点もありやむを得ないだろう。ただ、神戸の街の雰囲気を象徴するような、トアウエストや栄町通の雑貨店や洋服店が建ち並ぶ一角は行政が計画してできるものではない。古くは川西英が描いたような昔の猥雑な南京町や「外人バー」などは、いまの神戸が成り立つまでに不可欠だったろうが、わざわざ行政が設置して作ると本物でなくなる。都市計画にも何か「ゆとり」のようなものが必要なのではないか。街が美しく便利になるのは豊かな生活に欠かせないが、ぜひとも「やりすぎ」には気をつけてもらいたい。
(神戸経済ニュース)

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