(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]増え続けている大家さん 個人が供給する新築貸家

神戸鳥瞰虫さがしワッペン

 阪神間の都市部で、民間資金による貸家新築が増勢にある。顕著なのは大阪市だが、神戸市でも高水準で推移している。けん引しているのは「会社」が建て主の物件だが、絶対値で見れば「個人」が建て主の供給量も一定水準を維持している。相続のための土地登記の件数が緩やかな増勢になっている現状から見て、この傾向がなおも続く可能性は高い。

 神戸市の新築住宅着工件数で、貸家が分譲を上回る局面が顕著になってきたのはここ3年。この傾向が一層鮮明なのは大阪市だ。会社(法人)による供給が急増している。都市へ人口集積する傾向が強まる中で、阪神間でも神戸、大阪での賃貸住宅供給が分譲以上の勢いを見せている。

20170513神戸鳥瞰虫探しグラフ

 賃貸物件の供給増加は、人口増加を見込んだ会社による事業拡大だけでは説明し切れない。下支えしている供給主体に、個人があるからだ。民間資金ベースでの新築賃貸全体に占める個人の割合は、会社が急増しているために低下傾向にある。しかし、新築統計で示されている府県ベースでの個人の割合を神戸、大阪の両市に当てはめて戸数を推定すると、個人建て主から賃貸物件が安定的に供給され続けているのが分かる=グラフ。個人大家の数は安定的に増えているわけだ。

 理屈では総人口の減少局面で住居の需要は後退するが、都市部など特定の地域には着実に市場が存在し、需要があると見込まれているようだ。会社による供給戸数の急増がこれを示す。ただ、個人の立場から見れば、余剰土地の利用策として貸付にすることで税制上の特典を得るメリットもある。土地登記統計によると、神戸地方法務局管内の「土地の権利に関する登記」で相続事由による比率は、大阪地方法務局管内の比率を上回っている。登記全体に占める相続事由の割合も高まる傾向にある。

 こうした傾向から判断する限り、賃貸住宅の供給は現実の市場価格や需要動向とは異なる要因で増加していることになる。新築の貸家が安定的に供給される展開がなおも続く可能性は高い。路線価や基準地価など土地の売買価格の上昇は話題になるが、その割には住居の家賃が上がらない理由の1つかもしれない。
(候鳥)
=随時掲載します

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