理研の松岡聡氏「富岳は仕事を作っている」 高橋政代氏と対談・078KOBE
- 2020/09/06
- 17:08
理化学研究所・計算科学研究センター(神戸市中央区)の松岡聡センター長(写真右)は6日、クロスメディアイベント「078KOBE2020」に出演し、同氏が開発の責任者を務めるスーパーコンピューターの「富岳はいっぱい仕事を作っている」と述べ、将来はAI(人工知能)が人間の職業をうばうとの見方を否定した。松岡氏は「『富岳』から始まる未来世界」をテーマに、世界初のiPS細胞で再生した網膜の移植を成功させた医師でビジョンケア(神戸市中央区)の高橋政代社長(写真中)と対談した。(写真は078KOBEが配信した動画より)
松岡氏は「あるレベルまでは(人間とAIの)置き換えが進んでいくというか、人間とAIのシミュレーションが能力を補完し合い、それが高いレベルになることはあると思う」という。再生医療などiPS細胞など「分からないことを分かるようにするのがサイエンスで、それを役立つようにするのがエンジニアリング」だが、「そのプロセスを加速するのがスーパーコンピューターで駆動するAIだと期待している」と説明した。
研究員による作業のばらつきなくし、「匠(たくみ)の技」に頼らない細胞の培養をめざしてロボットを研究室に導入した高橋氏は、松岡氏の説明に対して「実感でもそうだ」とうなずいた。AIの分析結果をみて「人間も賢くなっているし、仕事の質は一段、レベルが上がった」という。これまで判断するには年単位といった長時間が必要だった場合もあることから、「医療の効果に関するシミュレーションには期待している」と高橋氏は語った。
これまで医療や生物学は現象が複雑であることから松岡氏は「コンピューターのパワーも追いつかなかった」という。だが富岳では「AIの医療適用は大事なアジェンダ(テーマ)で、そこを強化しようという計画もある」「最先端の研究者の方と一緒にやらせていただければ」と話していた。
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