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(解説)神戸医療産業都市、居酒屋の誘致も必要か? 立地企業が感じる「課題」

 神戸医療産業都市推進機構が24日に開いた「神戸医療産業都市運営委員会」の初回会合で、神戸医療産業都市に拠点を構える企業や研究機関が挙げた同都市の課題には、ベンチャー企業の誘致や支援の仕組みづくりを求める声が多く、これは進めていく必要があるだろう。その一方で、居酒屋などの気やすく使える飲食店を誘致すれば、解決に近づくのではないかと思えるものも意外に多かった。背景には、カジュアルな議論の場が不足しているとの実感があるようだ。(上の写真は24日の会合であいさつする神戸医療産業都市推進機構の本庶佑理事長=24日)

20180826第1回神戸医療産業都市運営委員会

 「徒歩10分以内でほとんどの施設を回れるし、意見交換の場も多い印象だ。いまのところ期待通り」。こう話すのは昨年、神戸医療産業都市に研究開発施設を開設した日立製作所の武田志津・日立神戸ラボ長だ。機構を中心として定期的に交流会や研究会などを設けているのが、新たな進出企業の好印象につながっているようだ。半面、「最先端の技術を持つ企業は、それぞれ機密を抱えており、腹を割って話しづらい」という声も多かった。「そのうえで産業集積のシナジー(相乗効果)をどう考えるのか」

 そんな時にはやはり「居酒屋」が必要なのではないか。「全部は話せないのだけれど、うちの会社、こんなネタがあるんだよ」--などと打ち明けられる友達との「ちょっと一杯」は、直接的な成果には結び付かないかもしれない。だが、大いなる気分転換が新たな展開をもたらすというのは、よくあることだ。

 解析ソフト開発やコンサルを手がけるヴァイナス(大阪市北区)の藤川泰彦社長は「交通インフラの良さが逆効果で、すぐに東京に帰ってしまい、来訪者を引き止められない」となげく。同氏は、神戸のスーパーコンピューターと空港の近さは世界的にも珍しいと指摘する。だが、研究会など行事の終了後などに「ちょっと一杯」を誘うことができないのが現状だ。もし研究者らの間で話題になるような、ホットな議論もありうる夜の「ちょっと一杯」があれば、神戸に宿泊する動機付けにもなるだろう。高機能樹脂の八十島プロシード(尼崎市)の清水資生常務が求める「クチコミにつながるネットワークづくり」にも寄与しそうだ。(下の写真は神戸市中央区のポートアイランドにある神戸医療産業都市=資料)

20180826神戸医療産業都市

 すべてが「飲みニケーション」で解決するとは思わないが、若き日のアインシュタインが友人や後の妻らとカフェで交わした議論が特殊相対性理論につながった、という逸話もある。カフェではなくブラッセリーだったという説もあるようだから、だとするとビールで「ちょっと一杯」やりながらだった可能性は高い。研究機関や医療機関がひしめく神戸医療産業都市にも、そんな役割を担う居酒屋が必要なのではないか。

 もちろん飲み会の席ではパワハラやセクハラが起きやすいので、この点には注意が必要だ。ただ、大きな契約の後などに食事会で使う高級レストランではなく、たまたまポケットに入っている金額で過ごせて「そこに行けば誰かに会える」という場所があるのは、人生を豊かにするためにも重要だ。議論の相手が誰であったのか、酔いがさめてから知ったり、知って酔いがさめたりするのも一興だ。結果としてSNSとは違ったネットワークがついて来るのではないか。そして「都市」とは元来、そういうものではないのか。(神戸経済ニュース 山本学)

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Author:kobekeizai
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