(解説)JR西日本は、どんな商店街にしたいのか明確に 元町高架下リニューアル

20161204元町高架下

 いま東京の高架下は、ちょっとした注目スポットだ。高架下を活用した商業施設が相次いで開業し、新たな顧客を開拓している。鉄道会社にとっては新たな賃料収入の獲得と沿線活性化が同時にできて一石二鳥というわけだ。鉄道会社は営利企業だから自社で保有する不動産を活性化して利益を株主に還元するのは当然だ。だが、はたして元町高架通商店街(元町高架下=上の写真)のリニューアルも、最近話題の高架下と同じ要領でできるのかというと、おおいに疑問が残る。

 11月22日にオープンした「中目黒高架下」(東京都目黒区=2番目の写真)。東京・渋谷と横浜を結ぶ東急東横線の中目黒駅を挟んで700メートルほどの高架下に飲食店を中心とした28店舗がオープンした。2014年3月にはJR中央線の阿佐ヶ谷〜高円寺間に「阿佐ヶ谷アニメストリート」(東京都杉並区)が開業。JR山手線・京浜東北線の秋葉原駅付近には「2k540 AKI-OKA ARTISAN」が2010年。いずれも共通しているのは、昔から同じ場所で営業している店舗がないということだ。

20161204中目黒高架下-1

 神戸市内で同じような高架下は例えば、JR神戸駅の高架下で2012年3月に開業した「プリコ神戸」(神戸市中央区)が当たるだろう。もともと鉄道用地だった場所を新たに商業施設に転換したことで、駅でちょっとした買い物ができるようになった。しかし、もし元町高架下もプリコ神戸と同じようになれば、駅でもできる買い物をするために、誰がわざわざ足を伸ばすというのだろう。元町高架下の魅力は、昔ながらの商店街や市場の魅力とまったく同じであり、商店街のリニューアルは商店街自身の手によって行われなければ見かけだけ新しくて活気を失うだけ、という事態に陥りがちだ。

 11月29日付の神戸新聞(朝刊)によると、JR西日本は元町高架下1〜7番街のうち、現在の店舗(入居者)を2、3、6、7番街に集約し、1、4、5番街を直営施設として新たな店舗を呼び込む考えのようだ。幸い「昔からの店」は残りそうだが、JR西日本が呼び込むという新たな店が「単に高い家賃を取れそうな店」だとすれば現在の元町高架下の魅力は失われるだろう。そして古くからの神戸の老舗が並ぶ元町商店街と競合し、互いにつぶし合うことも避けたいところだ。

 JR西日本は現在の店舗経営者らと、まず商店街全体の経営理念についてしっかり話し合うべきだ。同時に店舗の経営者らも、商店街全体に人を呼び込む方策について、もっと関心を持つべきだろう。そのうえで両者が高架下の今後について協議しないことには、後味の悪い感情論だけが残ることにもなりかねない。「戦後のヤミ市の雰囲気を現代に留める」のは元町高架下の売り文句だが、戦後のヤミ市で起きたような危険がないのなら、現在の空き店舗を埋めることを先に考えるのも一手かもしれない。

 ところで、下の写真は中目黒高架下にある高架の橋脚だ。このナンバリングに見覚えはないだろうか。小洒落た書体になってはいるが、神戸市内の高架下でもよく見かける、いわば高架下の地番を示すナンバリングが新たに作られた高架下商店街でも使われることになったようだ。蒸気機関車の時代から鉄道が高架を走っていた神戸は、高架下の活用にもそれなりの歴史がある。全国の高架下のモデルとまでは行かなくとも、映画の撮影などにも使われる「神戸の元町のような面白さ」を都市の異空間である高架下に見出そうという気分がないわけでない。

20161204中目黒高架下-2

 そうした観点から、全国で最も長い高架下商店街である元町高架下のリニューアルは、神戸以外の地域の高架下のイメージ、ひいては全国の高架下の資産価値に影響する可能性もないとは言えない。元町高架下のリニューアルには、それぐらい本気で、腰を据えてJR西日本と店舗経営者らに取り組んでもらいたい。(神戸経済ニュース)

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