すべての色にストーリーがある 「Kobe INK 物語」受賞記念で講演会

 ナガサワ文具センター(神戸市中央区)が2007年に発売した万年筆用のインク「Kobe INK 物語」が、第10回日本マーケティング大賞の奨励賞を受賞したのを記念した講演会が29日、デザインクリエイティブセンター神戸(KIITO、神戸市中央区)で開かれた。これまでに開発した82色について、開発者である同社の竹内直行執行役(写真の左から2人目)は「すべての色にストーリーがある」と紹介。竹内氏が色を開発した際の協力者らも登壇し、開発時の苦労話などを語り合った。

 講演会は2部構成。第1部では竹内氏と、日本マーケティング大賞の審査に加わった近畿大学の廣田章光教授が対談した。竹内氏は、阪神淡路大震災から10年が経過した05年に、「お世話になった人に『六甲の緑色』で手紙を書きたいと思ったのが開発のきっかけ」と話した。廣田氏は、市場が縮小しているとみられていた万年筆インクで「同一ブランドで10年継続したこと」「82色とたくさんの色が作られたこと」「年間3万本も販売していること」など、さまざまな形で驚いた審査員が多かったと打ち明けた。

20180630KobeINK物語クロストーク

 第2部では、82色のうち「有馬アンバー」の開発に協力した金井啓修・御所坊社長(写真右)、「青谷カスケードグリーン」「水道筋マルシェブルー」で協力したデザイナーの慈憲一氏(同右から2人目)、「南京町フォーチュンレッド」で協力した曹英生・南京町商店街振興組合理事長(老祥記社長=同3人目)が登壇。開発時を振り返ったうえで、「宿泊施設のロゴや内装にインクと同じ色を取り入れた」「あぶり出しなど遊び心のあるインクを作っては」と万年筆の枠から離れた展開にも話題が広がった。司会は神戸フィルムオフィスの松下麻理代表(写真左)が担当した。

 Kobe INK 物語は定番色として67色を販売。それぞれ色の名前には、必ず神戸市内の地域名を充てている。講演会の冒頭であいさつした神戸市の久元喜造市長は「神戸の街の顔がいかに多様かを示している」「まちづくりでも大事なポイントは色彩ではないか」と話し、神戸市で初の受賞をたたえた。講演会は神戸観光局や神戸商工会議所などで構成する「おとな旅・神戸」実行委員会と日本マーケティング学会(会長・田中洋中央大学大学院戦略経営研究科教授)が主催した。

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