(解説)Q&A・株主総会とは 「IRの機会」と捉えるのが最近の傾向

 3月期決算の会社による株主総会が29日までに一巡した。神戸市の本社を置く会社は27〜28日の開催がピークになり、両日で20社超が開催。全国的にも多くの会社が、この時期に株主総会を開催し、株主らによる会社への質問がさまざまなメディアで取り上げられた。以前は「総会屋」などの暗躍も指摘されたが、そもそも株主総会とは何か。Q&A形式でまとめた。

Q 株主総会は何をする場なのか。

 法律上、株式会社の最高意思決定機関が株主総会だ。会社定款(ていかん)の変更など会社組織に関わることや、配当金など株主利益に関わる意思決定をするほか、取締役や監査役の任免権を持つ。一方で日常の業務執行に関する権限はない。通常、定時株主総会といえば年に1回で、前期の業績報告、取締役の選任など議案の説明、質疑応答、議決といった流れになっている。合併やM&Aで株主の権利に影響がある場合などは、必要に応じて臨時株主総会も開催することも法律で決められている。

Q 6月下旬に集中するのはなぜか。

 株式会社は決算期末から3カ月以内に株主総会を開催し、上場会社であれば有価証券報告書などを作成、提出する必要があるためだ。従来は6月下旬の金曜日というのが定番だった。以前は、株主総会の議事を妨害することで会社から金品を得ようとする「総会屋」の出席を避けるため、一斉に開催するといった意味もあったようだ。ただ近年は株主が出席しやすいように、開催日を分散させる傾向が出ている。東京証券取引所によると、1990年代には上場会社の9割超が集中日に開催していたが、今年の集中日とされた28日に株主総会を開催したのは全体の31.7%にとどまった。神戸製鋼所の株主総会(写真=同社が報道関係者に公開した映像より)は21日、シスメックスは22日とピークよりも早めの開催だった。

20180629神戸製鋼株主総会

Q 議決は拍手で良いのか。

 株主総会では議決の際に、議長が「賛成の方は拍手を」と呼びかけることが多い。会場から拍手が聞こえた後、議長は「過半数の賛成を得られたものと認めます」と述べて議事を進行する。この議決は実際、形ばかりのものだ。多くの会社は書面(郵送)やネットを通じて、事前に議決権の行使を受け付けている。そもそも海外や国内でも遠隔地の株主は株主総会に出席しにくい。川崎重工業は神戸市中央区の神戸国際会館こくさいホールで株主総会を開催したが、会場に足を運んだ株主は508人だった。議決権を持つ株主数(11万3908人)から見ると0.4%にとどまる。特に大株主が機関投資家などの場合、株主総会が始まる前に、すでに議案の成否が決着しているケースも多い。

Q それでも株主総会を開催するのはなぜか。

 法律的に開催が義務付けられているということ以上に、近年では「株主と経営陣の対話の場」というIR(投資家向け広報)の一環と受け止められているようだ。経営陣は株主の意見をよく聞くことで、株主を向いて経営する姿勢を示すこともできる。実際、「社長にひとこと言ってやろう」と思って株主総会に出席する株主も少なくないようだ。株主総会は平日に開催する会社が多く、いまのところ出席できる株主層は限られる。だが全国的にみると土日に株主総会を開催し、多くの個人株主に出席を呼びかける会社も出てきた。特に個人株主が多い会社の場合は、株主総会の出席が少ないと法律で決められた定足数に届かず、株主総会が成立しないといった事態にもなりかねない。総会屋対策の法整備が進んだことや、国内でも個人株主数が総じて増加していることもあり、株主が出席しやすい株主総会を模索する動きは今後も広がりそうだ。
(神戸経済ニュース 山本学)

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