川重の今期、純利益一転64%減の見通し 船舶海洋事業「継続性含め検討」

 川崎重工業は30日、2017年3月期の連結純利益が前期比64%減の165億円になる見通しだと発表した。従来予想の490億円から一転の減益予想。円高の進行が逆風になったうえ、ブラジル合弁会社で売掛金を損失処理するなど船舶海洋事業で損失を計上することなどが響く。4〜9月期は50億円の最終赤字に転落。船舶海洋事業は「継続性を含め今後の方針を検討する」(発表資料)と、抜本的な見直しに取り組む。
 
 通期の売上高は2%減の1兆5100億円、営業利益は65%減の340億円になる見通し。従来予想は2%増の1兆5700億円、27%減の700億円だった。円相場の上昇を受けて海外売上高などが目減りする。新たな予想は1ドル=102円、1ユーロ=114円を前提とした。従来の110円、125円からいずれも円高方向に見直した。

 船舶海洋事業はブラジルの合弁事業であるエンセアーダに残っていた50億円の売掛金を4〜9月期に損失処理。油田やガス田開発を支援する、ノルウェー向けのオフショア作業船では設計段階の不具合などで通期の営業利益を60億円押し下げる。坂出工場(香川県)で建造中のLNG(天然ガス)運搬船も建造コストが当初の想定を大幅に上回り、今期の営業利益を20億円悪化させる見込み。

 川重は船舶海洋事業について、金花芳則社長を座長とした構造改革会議を設置。17年3月末までに今後の方針を公表する。受け渡しベースでは19年半ばまで続くとみられる受注済みの船舶建造は「全社体制で完工」との方針も打ち出しており、その後の造船事業からの撤退も検討対象であることを示唆した。

 年間配当金も前期比半減の6円と、従来予定である2円減配の10円からさらに減額することを決めた。中間配当金は予定どおり4円とするが、期末配当は2円どまり。業績悪化と大幅減配を受けて、役員報酬を自主返上する。

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