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(解説)神戸医療産業都市に海外患者の窓口 医療現場の負担軽減にも期待

 神戸市と神戸大が5月25日に設置した、海外から神戸医療産業都市にある医療機関に患者を受け入れる際の窓口は、神戸側の医療現場の負担軽減にも期待がかかる。これまでは病院単位や診療科単位で受け入れてきた患者の対応に専門部署ができることで、普段から多忙な医師や看護師らが不慣れな外国語や外国の習慣によって戸惑うリスクが抑えられる。より適切な医療を患者に提供でき、「高度医療の提供を通じた国際貢献」という神戸医療産業都市が掲げる目標にも近づく公算だ。

 窓口の名称は「インターナショナル・ペイシェント・レセプション・デスク(IPRD)」で、神戸大学医学部付属国際がん医療・研究センター(神戸市中央区港島南町)内に設置した。患者の受け付け、患者情報の事前取得、通訳やビザの手配など、来日した患者がスムーズに受診できるよう支援する。患者は来日後、いったん神戸大学医学部付属病院で診察。必要に応じて神戸医療産業都市にある別の医療機関を紹介する。病院単位で受け入れ窓口を設置することはあるが、自治体が連携し、複数の病院も了解のうえで窓口を置くのは神戸ならではの取り組みだ。

20180607海外患者窓口

 「窓口の設置で、まず来日する意義があるか、という点から相談に乗れる」と説明するのは、神戸大学医学部付属病院の病院長補佐でIPRDを担当する伊藤智雄教授だ。神戸医療産業都市で受け入れを想定するのは、大学病院を中心とした高度医療を必要とする患者。母国で普通に提供できる医療で十分なら、患者の渡航費用負担を避けられる。一方で、末期がんなどの場合、来日しても尽くせる手は限られるうえ、容態が悪化して帰国できなくなるといったケースもあり得る。(写真は神戸大の伊藤智雄教授=右=と医学部総務課の岡沢大介氏)

 そうしたことを総合的に判断するためには、通訳やコーディネーターといった存在が不可欠だ。診療科単位で受け入れていた従来の方法では、医師が不慣れな中国語など外国語のカルテと長時間格闘して、ようやく患者と向き合うといったケースも多かった。だが国際貢献の観点で海外患者の受け入れは続けたいとの意向は現場にもあり、「医療現場と患者の間に入る存在が求められていた」(伊藤氏)という。そこで浮上したのが、今回の患者受け入れ窓口だ。

 伊藤氏は「10月ごろにはIPRD専任のセンター長を置きたい」という。IPRDを通じた患者の受け入れは徐々に増やしていく。神戸医療産業都市の海外向けPRを担当する神戸市は、8月ごろに中国の天津市で開催する「国際医療交流シンポジウム」で、神戸医療産業都市のメディカルクラスター(医療機関群)を紹介する一環としてIPRDを取り上げる考えだ。神戸医療産業都市は1995年の阪神淡路大震災後に、復興事業として始まっただけに国際貢献は重要なテーマ。適切な海外患者の受け入れで着実に実績を上げることができれば、国際的な存在感も高まりそうだ。(神戸経済ニュース 山本学)

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