水素と燃料電池の最新動向で国際会議 神戸市と川重など講演、初の一般公開

 水素や燃料電池に関する技術の開発や標準化などを目指す国際協力の枠組み「国際水素・燃料電池パートナーシップ」(IPHE)の国際会議が11日、神戸市中央区のホテルで開かれた(写真)。加盟国のうち10カ国・地域が最新の政策動向や技術の展開などを報告した。基調講演は神戸市、川崎重工業と、各国の大手企業トップらで構成する「水素協議会」の3者が担当。それぞれの水素・燃料電池の活用に向けた取り組みを説明した。

20180511国際会議IPHE

 今回の国際会議は会場に、事前に募集した一般の約200人らを招いて開催した。IPHEが各国の代表者らによる報告を、一般公開したのは初めてだ。国内でも水素輸入の拠点開発に着手し、世界で初めて水素だけを燃料として市街地への熱電併給に成功した神戸から、水素・燃料電池をめぐる国際強調を発信するのがねらいとしている。会議はIPHEが主催し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と神戸市などが協力した。

 基調講演では、神戸市から清水雅範環境局長が「水素スマートシティ神戸構想」を紹介。2030年に温室効果ガス排出量を13年比で34%削減する目標に向けて、水素エネルギーは欠かせない要素であることを説明。川重の原田英一執行役員は、同社と大林組で取り組んだ水素での発電による熱電併給を紹介したうえで、水素の供給網は「ハイドロゲン(水素)ロード」と、東洋と西洋の交易を活発にしてシルクロードにたとえて将来の社会を変える可能性に言及した。

 水素協議会の紹介はトヨタ自動車の広瀬雄彦氏が担当。同協議会が17年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)をきっかけに発足し、その後も世界的な大企業のトップレベルで水素エネルギーの活用に向けた交流が続いていることを説明。化石燃料よりも水素が便利で普及するよう「水素協議会はできる限りの努力をする」との方針を改めて語った。

 さらに日本のほか米国、韓国、南アフリカ、オランダ、ドイツ、フランス、欧州委員会、中国、ブラジルが自国での動向について説明。IPHEのメンバーらによる質疑も実施した。会場のロビーでは、神戸市と川重、岩谷産業、電源開発、シェルジャパン(東京都千代田区)が神戸空港島に建設している液化水素の輸入拠点について、完成後の様子を体験できるVR(仮想現実)ディスプレーが展示された。

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